出版社内容情報
古代日本語から近代日本語への大きな転換点である、中世末期日本語の文法研究に長年取り組んできた著者の、これまでの研究をまとめる集大成。日本語の変遷を考えるうえで極めて重要な言語であるにもかかわらず、そのテンス・アスペクト・モダリティ体系がこれまでよく分かっていなかった中世末期日本語の不明部分を明らかにし、古代語から現代語までの変遷を明快に見通せるようにした画期的論考。
内容説明
中世末期日本語は、近代日本語のスタート地点にして、古代語と現代語のほぼ中間に位置する言語である。まさに、大きな転換期にあたる言語であり、日本語の変遷を考える上で極めて重要な言語といえる。しかし、そのテンス・アスペクト・モダリティ体系は、これまでよく分かっていなかった。このため、これまでは、古代語から現代語までの体系の変遷を見通すことができなかったのである。
目次
序章 本書の目的と意義等
第1部 中世末期日本語のテンス・アスペクト・モダリティ体系を記述する(中世末期日本語の~タと~テイル・~テアル;中世末期日本語の~テイル・~テアルと動詞基本形;中世末期日本語の~ウ・~ウズ(ル)と動詞基本形―~テイルを含めた体系的視点からの考察― ほか)
第2部 中世末期日本語の体系を踏まえて古代日本語から現代日本語への変化を読み解く(従属節において意志・推量形式が減少したのはなぜか―日本語の変遷を「ムード優位言語ではなくなる」という言語類型の変化として捉える―;中世前期日本語の「候ふ」と現代日本語の「です・ます」の統語的分布の異なり―文中には丁寧語があるが文末にはない場合―;中世前期日本語の「候ふ」と現代日本語の「です・ます」との異なり―「丁寧語不使用」の観点から― ほか)
第3部 「国語教育」「現代日本語のアスペクト研究」「形式と意味の関係の記述方法」「日本語学史」への関わりを示す(「む」「むず」の違和感を「言語類型の変化」と「テンス・アスペクト・モダリティ体系の変遷」から説明する;古典文法書間で「む」「むず」の記載内容はこんなにも違う・その1―「古典文法教育が苦痛であること」の本当の理由―;古典文法書間で「む」「むず」の記載内容はこんなにも違う・その2―「む」と「むず」の違いを大学等の入試問題で問うことは妥当か― ほか)
終章
著者等紹介
福嶋健伸[フクシマタケノブ]
実践女子大学文学部国文学科教授。博士(言語学)。1973年、東京生まれ。日本学術振興会特別研究員(DC2)を経て、2003年3月、筑波大学大学院博士課程文芸・言語研究科言語学専攻(日本語学)修了。2003年4月、実践女子大学文学部国文学科助手に着任。専任講師、准教授を経て、2017年4月より現職。2011年4月より1年間は、米国University of WashingtonのDepartment of LinguisticsのVisiting Scholar(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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