出版社内容情報
平仮名はどのようにして万葉仮名から成立したのか。万葉仮名をくずしていくうちにできたとする通説を徹底批判。新資料に基づいてそのミッシング・リンクを見出そうとする気鋭の論集。平仮名成立の謎に迫る。
内容説明
平仮名はどのように万葉仮名から成立したのか。万葉仮名をくずしていくうちにできたという通説を徹底批判し、新資料に基づいてそのミッシング・リンクを見出そうとする気鋭の論集。
目次
基調報告 平仮名成立まで
第1部 文字環境としての漢字文献(漢字文献の仮名とその展開―訓字と仮名の揺らぎをめぐって)
第2部 平仮名の登場(平仮名成立の諸要件;「かな」と真仮名の連続と不連続を考えるために;思うままに書けるように―「仮名」が「かな」になる過程を考える)
第3部 万葉仮名と平仮名(漢字の表意性から見た「かな」の成立;仮名の成立について―万葉仮名から「仮名」へ;濁音専用仮名はなぜ萬葉仮名から継承されなかったか)
研究の展望
著者等紹介
内田賢徳[ウチダマサノリ]
京都大学大学院文学研究科博士課程中退。京都大学名誉教授
乾善彦[イヌイヨシヒコ]
大阪市立大学大学院文学研究科博士後期課程単位取得退学。博士(文学)。関西大学文学部教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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gorgeanalogue
14
「万葉仮名が崩されて平仮名になった」というのは全体的には間違いではないとしても、雑すぎる認識で、特に「仮名」の使われ方には多くの様相があるということは納得できたし、論者ごとにひどくくせの多い行論にもかかわらず、面白かった(編者の総括が一番くせがあるというのは困るけど)。そして、あと書きに言い訳もされているが、用語を統一する気は全くないので、論文ごとに論者の概念規定を頭に入れるのに時間がかかる。一般読者としてはせめて見通しのいい前説が欲しい。そして「草仮名」をきちんと論じた論文がないのは致命的とも思える。2022/09/03
mft
6
「万葉仮名を崩して平仮名ができた」というような俗説が雑すぎることを体感できる一冊。いわゆる「万葉仮名」の中の多様性とか、何を以て「平仮名」が成立したと言えるのかとか、「万葉仮名」と「平仮名」の見た目以外の差異とか。シンポジウムの論集なので、それぞれの論者に注目したいポイントと(これが若干読みにくいのだが)独自の用語があって、まとまりがないという印象で読み進めていたが、読み終わってみると平板だったタイトルに立体感が付与されたぐらいの見え方の違いが得られた気がする2019/06/22
maqiso
1
漢字の体系を利用した万葉仮名と独自の表音システムである平仮名の間には断絶があった。万葉集の漢字がかなり意識的に選ばれていたことや、漢字と交ぜ書きされるがゆえに平仮名が異質な形に変わったという推測が面白い。著者によって用語や背景が違っているのは、意図的らしいが読みにくい。2019/09/21
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- 和書
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