内容説明
新聞で自らの婚約をしった、梨本宮家の姫君が嫁いだ、朝鮮王朝。そこは日本軍部の、謀略のるつぼであった。言いしれぬ圧迫感と不安に耐えた、長い歳月。戦後は夫につき添い終生の地とさだめたソウルへ。動乱の世紀をいきぬいた、一女性の回顧する日本と韓国・80余年。
目次
第1章 ふたつの祖国をもつ運命
第2章 課せられた重荷
第3章 李殿下の慟哭
第4章 妻・母・王妃として
第5章 海峡を越えて
第6章 「人と国とを守れおさな子」
第7章 王家の悲運
第8章 ヨーロッパ非公式旅行
第9章 自己との戦い
第10章 第2次世界大戦へ
第11章 はるかな道程
第12章 祖国からのよび声
第13章 終わりのない事業
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
崩紫サロメ
12
日本の皇族として生まれ、朝鮮王朝最後の皇太子妃となり、戦後は韓国人として生きた李方子(梨本宮方子)が80代で書いた自伝。日本で皇太子(後の昭和天皇)妃候補となりながらも「男子を産める体質ではない」として、朝鮮王室との政略結婚が決まり、夫となった韓国の皇太子とは生涯睦まじい間柄であったが、日本人であることへの非難、幼い長男の急死など、日朝の間で苦しみに満ちた植民地時代を過ごす。(→)2020/06/25
Wisteria
6
皇族の方々は波乱万丈な人生を歩まれる事が多いかと思いますが、方子さまは特別に過酷な運命を辿った方だと思います。それでも夫と息子を愛し支え、仲睦まじく共に歩まれた事は、ご夫婦のお心掛けの大切さを教えてくださいました。2019/06/15
関東のカササギ
2
旧大韓帝国の皇太子、李垠に嫁いだ皇族の方の自著伝です。政略結婚させられたり、敗戦後は韓国籍になるも李承晩が(アバウトに言えば)嫌がらせして苦労するわ、旦那さんは失意の内に病身となってしまったりと、まさに七難八苦な生涯を送られています。そんな中でも強く最善を尽くそうとする氏の姿勢に心から感動しましたし、自省しました。 歴史としても、中々スポットの当たらないところであり、大変勉強になりました。絶版ですが、図書館にあって読めました。感謝。2017/05/11