冷蔵庫との対話―アクセル・ハッケ傑作集

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  • サイズ B6判/ページ数 194p/高さ 19cm
  • 商品コード 9784384040388
  • NDC分類 944
  • Cコード C0098

出版社内容情報

「ちいさなちいさな王様」で日本でも人気のある著者が、家族や冷蔵庫との日々をときにグロテスクな、ウィットと憂愁に満ちた文章で描くエッセイ。

内容説明

冷蔵庫は夢を見るか?どうしたらケータイで留守録が聞けるのか?なぜ私がスーパーで並ぶ列はいつも進まないのか?妻も子どもも私の言うことを聞いていない、な・ぜ・だ?!『ちいさなちいさな王様』とはひとあじ違う、アクセル・ハッケの日々の報告。虚実のあわいをぬう、ときにグロテスクな、ウィットと憂愁に満ちた物語。

著者等紹介

諏訪功[スワイサオ]
1936年東京生まれ。玉川学園高等部、東京外国語大学、東京大学、ボン大学等でドイツ語、ドイツ文学、ドイツ語学を学ぶ。NHKラジオドイツ語講座講師、ウィーン大学客員教授、雑誌『基礎ドイツ語』編集長等をへて、現在、一橋大学名誉教授、独協大学特任教授
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

Hideto-S@仮想書店 月舟書房

89
「家族がばらばらになるほど、他の人のために割く時間が少なくなるほど、キスの回数は増えていく」と〈私〉は、冷蔵庫のボッシュに話す。「じゃあ、おれにキスしてくれよ」と冷蔵庫は言う。白い金属に唇を押し当てると〈彼〉は震え、モーター音が止んだ。背後で妻が尋ねる。「ゆうべ、そんなに飲んだの?」。ユーモアとテツガク。新聞記者と作家の〈二足のわらじ〉を履く作者がドイツの新聞に連載したコラム。IT化の荒波に乗り切れず悶々とした時は、キッチンの古い冷蔵庫に向かってぼやく。まるでショートショートの物語のような鮮やかな手腕。2015/03/20

キジネコ

42
キッチンの冷蔵庫は最高に旨いビールを供してくれる「私」の幼馴染で親友。「ネットに接続?なんて芸当は論外だぜ。目下の悩みは廃棄されて人知れず錆びて果てる悪夢なんだ…」と彼は愚痴る。世俗の垢を払えぬ列記としたオヤジの「私」と旧いボッシュは夜な夜なキッチンでぼやき続けます。ちいさな王様の物語を贈ってくれた作家の日常。妄想がシュールな暴想に変化する亜空間の穏やかな狂気に堪らなく共感し静かにゆっくりと感染します。この出会いは予感を超えてました。何処かの街、彼らの溜息の聞こえるキッチンに皆様を御誘い致しましょ(^^ゞ2017/03/11

キジネコ

40
百の年季が入ると道具も喋り出す…て御話が日本にもありますがドイツのハッケさんちに伝わる冷蔵庫、馴染みのボッシュとの深夜の会話が何やら哲学的でございます。そのキッチンに戻りたくなって6年ぶりの再読。文章家の周囲で起きる一寸したすれ違いや軋轢がキッカケとなって妄想が飛躍するユーモラスな小文集。ゾーヴァさんとのコンビで世に送り出した絵本には多くの読者が居られますが、此の本は然程の反響がないのを常々残念に思うクチ、読書の疲れを癒す程の良い一書として皆様の記憶の隅にどーぞ。物言わぬ筈のモノの声が聞くのも、面白うて。2023/01/06

こばまり

37
ハッケとパオラと冷蔵庫。おっさんのボヤきが止まりません。暴走する妄想にクスクス。2015/04/04

りー

30
自虐や苦労話で笑いを誘うには大前提となる条件が一つだけあって、それは自虐をしている本人が心の底からは世界を貶めていないことだと僕は思っている。ネガティヴと自虐ネタは似て非なるものなのだ。そういう意味で、このエッセイは優秀だ。妻や子供や世の中のあれやこれやに文句をつけ、無二の友人である冷蔵庫のボッシュとくだを巻きながらも、ハッケは妻を、子供を、そして世界を愛しているのだろうなということが伝わってくるのだから。こういう何も生み出さない非生産的で愛すべきエッセイは嫌いじゃない。2014/01/19

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