内容説明
本書は、明治天皇制国家の残虐極まりない裁判に焦点をあて、著者の新たな解釈と視点から、事件の真相に迫る。
目次
第1章 大逆事件の舞台裏―一通の手紙から
第2章 平出修の大石誠之助弁護
第3章 予審調書にみる大石誠之助
第4章 幸徳秋水の検事聴取書、予審調書を読む
幸徳秋水と公判と「陳弁書」
第6章 幸徳秋水・平田修の真実追究の一致
第7章 「平沼検事論告」と弁護士平出修の駁論
第8章 幸徳秋水の無政府主義への軌跡
第9章 幸徳秋水の「無政府主義と暗殺」観―「陳弁書」にみる
第10章 幸徳秋水と『基督抹殺論』
第11章 獄中の大石誠之助
第12章 獄中の幸徳秋水
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
Ayumi Katayama
19
『これらのシナリオは、総て、小心で慎重な最高権力者山縣有朋の差し金であった』 この言葉が印象に深い。内閣も裁判も、ほとんど山縣の意のままであったかのようだ。海外からも茶番だと評されたこの裁判であるが、少しでも救われることがあるとすればそれは弁護人の存在である。複数人の弁護人がついているが、皆が被告人達に親身であったという。中でも平出修のその最終弁論には、被告人達も溜飲を下げ涙した。人権をまったく省みない政府のもとで怖れることなく弁論したものがいるということは、一条の光を見るようだった。2022/04/16




