内容説明
『死霊』によって戦後文学の極北に佇つ埴谷雄高氏、政治学者・思想史家として屹立する一代の碩学丸山真男氏が自在に語り合った偏愛的映画・音楽・文学論。『サレムの魔女』から『抵抗』まで、モーツァルトからミュージック・コンクレート、ドストエフスキーから武田泰淳まで。常に時代の先端に身を晒しつづけた幻視者による同時代についての貴重な証言であるとともに、戦後日本の精神史を跡づけるまたとない資料でもある。
目次
1 政治的状況と芸術(ピューリタニズムと性愛;映画の対位法的進行;文学の自律性とイデオロギー;革命のなかの前進性と後進性;バッハから現代音楽まで ほか)
2 文学と学問(武田泰淳と日本の思想小説;独房の思想;自閉症の時代;小部屋に分散する芸術家たち;サイレント映画と徳川夢声 ほか)
3 権力の国境
4 丸山真男とその周辺に関する二、三の覚書