内容説明
戦前の探偵小説の妖しい夢・驚異の世界を語る労作。草創期から筆を起し、これ一冊でも日本探偵小説史が分る。
目次
序章 昭和以前
第1部 昭和第一期(江戸川乱歩らの活躍;ヴァン・ダインの登場と新進の活躍;少年探偵小説の勃興;探偵小説全集と「蠢く触手」;「日本探偵叢書」その他)
第2部 昭和第二期(既成作家の結実;犯人探し・宝探し懸賞小説の流行;新進作家の輩出;諸家の探偵小説論)
第3部 昭和第三期(戦時下の探偵小説)
終章 戦後の動向
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
印度 洋一郎
4
昭和元年から20年までの、日本の推理・探偵小説の系譜を追う。今は読むことが難しい戦前の作品を色々とストーリーまで書いてあるのが親切だ。いわゆる本格推理作品と、スリラーやSF的な"変格もの"の二大潮流があり、どちらかというと変格ものの方が多かったという。その理由は、当時の日本人は「理詰めの文章が苦手」だったからだという。家族や恋人の間のドロドロした陰謀や犯罪が、歌舞伎の世話物のように当時の大衆には受け入れやすかったらしい。又、小説だけではなく、作家による探偵小説論も紹介され、コンパクトに通史を把握出来る。2019/01/16