出版社内容情報
「落語とは、一口にいって人間の業の肯定を前提とする一人芸である」とは、本書の「序」で師匠が語ったことば。「落語とは、一口にいって人間の業の肯定を前提とする一人芸である」とは、本書の「序」で師匠が語ったことば。
名著『現代落語論』出版後、落語協会を辞め立川流創設へ、という中で書かれた『現代落語論其二』、新装版。
◎序
落語ってなんだ
◎その一
落語のルーツ=私説落語論
◎その二
落語私史
◎その三
回想の落語
◎その四
現代の芸人たち
◎その五
いま、落語は
◎その六
古典落語時代の終焉
◎その七
家元立川流の創立
◎終
現代に挑戦する
立川 談志[タテカワ ダンシ]
著・文・その他
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Y2K☮
32
落語家も客も江戸や明治の人間ではない。いまや昭和初期すら知らない人が大半だ。それらの時代を舞台に据えた話芸が生き残るには、やはり「いま」を意識した変化が必要。もちろん古き良き文化を昔のまま受け継ぐことにも意味はある。けど落語の肝は人の業や弱さの肯定であり、寄席は人生に挫折した者たちにとって一種の駆け込み寺だった気がする。ここに来れば己のダメさ加減を「大丈夫。みんなそうだぜ」と認めてもらえたのだ。タイムリーな時代性を無視して古典芸能に終始したら「弱者の友」という要素が薄れてしまう。まずは著者の落語を聴こう。2021/12/11
Nazolove
24
落語家の違う一面を見れた気がした作品であった。 前半ははっきり言ってふーん、なんていう感じで読んでいたのだが、後半の弟子の話やら自分の身の上話やらを聞いているとわかるーとかおもしろーいなんて上から目線になってしまうが共感してしまうところがあった。 個人的には立川流は体育会系なのかな、なんて(厳しい師匠にどやされ弟子)思っていたのだが厳しい師匠に弟子入りしても上昇志向がない弟子がいるのか、と驚いた。 個人的に一言、家元、続編買ってすみません(笑)。2017/04/18
Roko
23
六代目三遊亭円楽が亡くなって、彼の死を惜しむ人たちの「毒舌には愛がなければいけないんだよ」って話をさんざ聞かされてね、あたしゃ考えた。ちょっと待てよ、毒舌ったら談志師匠でしょ。円楽が楽太郎時代に「楽太、お前に俺の落語の財産を半分やります」なんて言ってくれた人だよ。人への愛はもちろんだけど、落語への愛がこれでもかってくらい込められた師匠の生きざまは、ちょっと痛い。いやいや、かなり痛い。でもね、それくらい落語が好きなんだよ。こんなに素晴らしいものをすたれさせちゃイカンという愛だらけなんだ、談志師匠って人は。2022/10/08
gtn
16
著者自身元気だったのだろう。文章も乱暴に見せて、ぎりぎり抑制が効いており心地いい。例えば「エンゾーいじめ」の章。彼奴にはプライドがない、小朝の弟子にもなれる男だと、同僚橘家圓蔵のことを散々にこき下ろす。しかし、著者が毒づけば毒づくほど、圓蔵が大好きなことが伝わってくる。2019/12/20
kera1019
5
米朝師匠も著書で「落語は現世肯定の芸である。」と書いてましたが、この本からだいぶ時代が下がった現在、笑いの量が勝負のような状況で聞く側も質を求めなくなってるような気がします… 僕自身、関西という事もあって落語といえば様式美とか伝統と言うよりも「笑わせる」という認識の方が強かったんで、談志師匠の落語論は新鮮であり、落語に対する楽しみが一段深くなりました。現在も色んな落語家さんが切磋琢磨しながら"落語の灯"を消さないよう挑戦されてて、その姿にリスペクトです。2014/02/06