感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
姉勤
28
R18作品、いやR38の人生許容が要るか。昭和5年、岡山の貧家に生まれた著者の自伝。描かれる内容が過酷、苛烈、そして淫猥にして、男女の色恋に下腹が温まる途端に心肝寒からしめる。ルサンチマンの果てに、立場と資産がある男に体を許し、心を許した相手は非情に振られる(イケメンは別腹)。彼女のルーツたる貧困由来の堤家の荒み。見せ物的ただのエログロ作品に堕さないのは、形容のセンスと広範な学芸、文芸作品からの引用と怜悧な人間感。底辺の底が抜けていた終戦日本。今腐臭を放つ綺麗事は、先人の彼らが希求したものなんだろうな。2024/11/30
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