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内容説明
「われら、住んでたたかう」ウトロの住民たちの記憶と願いを撚り合わせ、今後の闘いの肝を記した宣言「オモニの歌」―止めどなく後退していくこの世界で、様々な位相で、とどまって闘い抜いた者たち。本著はその記録である。
目次
第1章 飯場跡
第2章 学校、それから
第3章 フェンス―違法と合法の境界
第4章 高台の学校
第5章 水―協働の始まり
第6章 「立て看」の家
第7章 小さな「統一」
第8章 今、そしてこれから
著者等紹介
中村一成[ナカムライルソン]
ジャーナリスト。1969年生まれ。毎日新聞記者を経て2011年からフリー。在日朝鮮人や移住者、難民を取り巻く問題や、死刑が主なテーマ。映画評の執筆も続けている(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
たまきら
35
Days Japanという雑誌でウトロという地名を知った時、行ってみたいと思った。その後京都に友人ができた時、「どこに行きたい?」と言われて「ウトロに行ってみたい」と言ってドン引きされたっけ。夫と私が訪れた時、そこは疲れ切ったさびしい土地だった。こうして記録としてまとまった本を読み、ウトロ平和祈念館のウェブサイトを眺め、国境を越えた平和活動って、こういうことなんじゃないのかな…と思った。2022/07/28
チェアー
9
語りが重奏的にウトロの歴史を少しずつ形作っていく。それが歴史的事実と合っているかどうかは重要ではなく、歴史を語る人が大事なのだ。その人たちがウトロに住み続けることが最も大切なのだ。 ウトロの人々を「不法占拠」とする人々や国家権力は、その上位にある国家の不法行為をどう裁いてきたのか。それを無視して権力のない、社会で最も弱い立場の人々の不法行為を叫ぶのはなぜなのか。 この大量の聞き取りの記録は、大きな財産だ。筆者は素晴らしい仕事をしたと思う。2022/10/02
田中峰和
7
昨年8月、ウトロ地区で火災が発生、年末に22歳の男が逮捕された。単に韓国が嫌いだったというだけで放火した犯人は、在日コリアンへの差別意識から被害者意識に近いものを持っていた。無知が生んだ犯罪の典型だった。戦中に戦争遂行のため国策として、飛行場の整備工事が遂行され、その際の労働力として集められた労働者は1日2000人。約1300人が朝鮮人労働者だった。彼らが飯場として居住したのが今のウトロ地区。著者は新聞記者として住人の多くから長年にわたって取材を続けてきた。彼らの苦難の歴史を知らない放火犯の責任は重い。2022/06/18
Hisashi Tokunaga
2
被害者の日本歴史だけを刷り込まれた我々戦後日本人はそれに先立つ加害者としての日本を学び忘れてきた。さらに、被害者にはそれが許される、との思い込みに埋め込まれていないか?土地をめぐる争奪戦は法律論だけでは解決しない。歴史を裁く規範が無い限り永遠の加害被害の循環論に陥るのだろう。例えばヒロシマナガサキの被害者は正にウトロ住民とどう連帯できるのだろう。ウトロの住民に「過ちは二度と繰り返しません」との懺悔で済むのかな?そんな妄想にとらえられた一冊でした。ウトロは巨椋池をめぐる歴史の一ページでもあったのでしょう。2024/09/03
takao
2
ふむ2023/01/08