内容説明
カルは、高い山の上に住んでいるので、学校へ通うことができません。もちろん図書館なんてないし、本を読みたいと思ったこともありませんでした。ある日、馬に乗った女の人が、カルの家に本を持ってやってきて…。今から、80年前のアメリカ。学校にかよえない不便な場所でくらしている子どもたちへ図書館の本を運びつづける人たちがいた。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Hideto-S@仮想書店 月舟書房
123
1930年代の米国に実在した『行動する女性図書館員』をモデルにした物語。時の大統領ルーズベルトは雇用促進計画の一環として、学校も図書館もない遠隔地に本を届ける『荷馬図書館計画』を始めた。馬やラバに乗って2週間ごと、ブックウーマンたちは雨の日も雪の日も険しい山道を登って本を届けた。読み書きを知らなかった少年は、山の民ですら一歩も外に出られない吹雪の中をやって来た女性の後姿に突き動かされて、生まれて初めて本を手にする。一人の人間の大きな一歩。誇りと信念がなくてはできない仕事だと思う。2010年4月初版。2016/05/14
emi
58
実話をもとに作られた、本の大切さを感じた絵本。馬で山岳地帯の僻地に本を届ける女性…学ぶこともできない子供たちに無償で本を届け続けるブック・ウーマンに、ただただ頭が下がります。冬が長くて家に閉じこもらざるを得ないとき、本が読めたらどんなにか短く感じられるだろう。本を読めなかった兄が読めるようになったとき、ブック・ウーマンへのお礼が素敵だった。私も幼少期、本が簡単に読めない環境にいたことがあり、そしてブック・ウーマンのようなことをしてくださった方がいた。その人の事を私は一生忘れません。2016/05/22
ぶんこ
57
高い山の上に住んでいる一家に雨の日も雪の深い日も律儀に本を届ける女性。その姿に心動かされたカルは本を手にします。簡単に本を手にできない子どもたち。そういった子どもたちに無償で本を届ける。仕事とはいえ信念がなくてはできないでしょう。素晴らしい政策。ちょうど今日、ミャンマーにおもちゃと本をセットにした本箱を寄贈する運動の事を知ったばかりで、ミャンマーの子たちはおもちゃを手にする子はいなくて、皆本を手にしたそうです。狭い地域の世界しか知らない子が、本によって広い世界を知る。本って素晴らしいですね。2018/05/22
テルテル
47
学校もお店も図書館もない場所て生活している子どもたちのために無料で本を貸し出す実際にあったアメリカでのお話。私のお気に入りの絵本『おおきなあな』が浮かぶ。確かに本を無償で貸し出し馬に乗って運んできたブック・ウーマンの姿は尊い。しかし、学校もない場所なら、文字を読める子が何人いたか疑問である。文字を読むためには学校が必要である。世界には、まだ文字を読めずにいる貧しい子どもが数多くいる。彼らに本を読む喜びを知ってもらうためにも全員が平等に教育を受ける権利を与えたい。世界教育機関の設立と各国の援助を求む!2015/06/07
あたびー
44
とても高い山の上に住んでいるので、学校に行くこともできないカル。自分は家の仕事を手伝っているのに、妹は本ばかり読んでいるので忌々しいとカルは思っている。猛禽しか来ないような高い山にある日、本を運ぶ女性がやってくる。移動図書館だ。どんな悪天候でもやってくる彼女を、カルはだんだん尊敬するようになる。子供に本を手渡すってなんて素晴らしい仕事なのだろう。高い山の上に行くことはできないかもしれないけれど、自分もブック・ウーマンでありつづけたいと願う。2024/05/14