内容説明
「サステナブル・ビーチ」―そんな名前の小部屋に、七海は入った。永遠につづいていく、すべての生き物たちのための、きれいな海辺。そこで、七海が目にしたものは…。もやもや気分で始まった小学生最後の夏休み。七海の世界は大きく広がっていく。この地球を守るために、ぼくにできることが何か、あるはずだ!
著者等紹介
小手鞠るい[コデマリルイ]
1956年岡山県生まれ。同志社大学法学部卒業。「詩とメルヘン」賞、「海燕」新人文学賞、島清恋愛文学賞、ボローニャ国際児童図書賞などを受賞。2019年『ある晴れた夏の朝』で小学館児童出版文化賞を受賞。一般文芸、児童書などの著書多数。ニューヨーク州ウッドストック在住
カシワイ[カシワイ]
漫画家・イラストレーター。一般文芸、児童文学作品の装画・挿絵も多数手がけている(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
☆よいこ
95
児童書。小学6年男子の七海(ななみ)は母親がアメリカ人で父親が日本人のダブル。夏休みにハワイに旅行し、そこで出会った少女のことが好きになった。同じ歳の少女ピカケはアーティストで、地球環境について考える絵画「サステナブル・ビーチ」を描いた。ピカケに刺激され、日本に帰った七海は海について調べた。父と山に登って、海と山が繋がっていることを実感した。そして川をキレイにする活動を始めた。七海のアクションは始まったばかり。▽世界が広がっていくっていいね。2021/05/24
chimako
90
SDGsを子どもの視点で描くYA。サクサクと読めてしまうが中身は「日本とアメリカのハーフ(ダブル)の主人公」「ベトナム戦争の帰還兵のアーティスト」「枯れ葉剤で足が不自由な少女」「プラスチックに汚される海」「プラスチックの海で死ぬ生き物たち」「山と海」「アクション」等々たくさんの事が詰め込まれている。ハワイで知り合ったアーティストと少女を通して、プラスチックで汚される海と破壊の進む地球そのものを考え始めた主人公七海。持続可能な海への熱い思い。我々にも出来ること。さあ、大人も始めないとね。2021/09/14
美紀ちゃん
90
SDGsの「考える」と「行動する」ができていて素晴らしい話だった。ナナミは母親と2人でハワイへ行き深刻な海洋汚染問題を初めて知った。人間の捨てたプラスチックのかけら、ペットボトルやプラスチック製品が海を彷徨いながら永久に消えることなく海中に存在している。川をきれいにすれば海もきれいに。海をきれいにすれば地球もきれいになる。考えた川べりクリーン作戦。私達はプラスチックを海に流さないようにしなければならない。 プラスチックは便利だけど海を汚す。 1人1人が地球を守るために考えなければならない問題だと思う。2021/05/10
ぶんこ
49
山の広葉樹の葉が落ち、腐って土になる。土の中にはフルボ酸が含まれ、鉄と結びついてフルボ酸鉄となり、海へ流れついて植物プランクトンが育つ。海の生物にとって、森の木の葉がどれほど大切なものか。このことが最も印象に残りました。海へ流れ着くプラスチックだけではなく、山、川すべてが生き物を左右する。読んでいて息が苦しくなることも。少量でも生ごみはポリ袋に入れないとダメという人が頭に浮かびました。悪気なくおこなっているであろう、ちょっとしたこと。積み重なると恐ろしい。2023/08/20
杏子
25
SDGs関連の本としてきちんと物語になっている!読みごたえもあり、問題意識もあり、しかもストーリーとして感動できる内容になっているのがよかった。たぶんほとんどの小学生にとっては、この作品が描いているような世界とは離れた生活をしていると思うけど。でもこんなことがあったらいいなぁ、こんなふうに自分もなれたらいいなぁ、と憧れの気持ちで読めるのではないか?七海のように自分で考えて行動できる人になれたら…!って。海も山も川も大地も失ってしまったら、と思うとぞっとする。こうして物語の形で確認させていただいた。買いっ!2021/05/30