内容説明
ポルポト政権崩壊後、戦乱で荒れた村から逃れてきた十二歳の少女ダラと家族は、難民キャンプでようやく食べ物にありつき、新しい友人に出会った。すぐに物資を手に入れて故郷へ帰れるかに思えた矢先、内戦がふたたび家族をバラバラにした。ダラは、親友が泥の玉にこめた魔法にすがり、勇気のたけをふるいおこして、闇に向かって歩き始めた。戦争とは?ふるさととは?家族とは…?カンボジアを内側から描いた感動作。小学生上級~中学生向き。
著者等紹介
ホー,ミンフォン[ホー,ミンフォン] [Ho,Minfong]
中国系の両親のもと、ミャンマーで生まれ、幼いころをタイで過ごす。その間に、中国語、英語、タイ語を習得する。アメリカ、ニューヨーク州の大学在学中に、子どものための作品を書き始める。以後、シンガポール、アメリカ、タイ、ラオスなどに仕事と生活の場を移しながら、アジアの現実と文化に根ざした作品を発表し続け、高い評価を得ている
もりうちすみこ[モリウチスミコ]
訳書『ホリス・ウッズの絵』(さ・え・ら書房)、『おじいちゃんの手』(光村教育図書)が産経児童出版文化賞に、訳書『真実の裏側』(めるくまーる)が同賞推薦図書に選ばれる(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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tellme0112
6
泣けた。よくやった!と言いたい。稲を育てることは、兵士になることより勇気がないことなのか?2017/10/13
redbaron
3
「ああ、ごはんを食べるって、何てすばらしいんだろう」・「戦ってもいない人間を殺すのが戦争」・そして、後半の別れに涙ぐんじゃった…今でもどこかで、大国のエゴで何の罪もない人が苦しんでいる。なんとかならないかな?良書です。もっと読まれて良いと思う。2014/11/03
がんぞ
2
ブノンペンの人口は三百五十万、赤色クメールは少年兵を入れてせいぜい十万、少数が制圧するには「恐怖による支配」だけが有効だった。陥落直後にロン・ノル派はもちろん、シアヌーク派も「出迎えに行こう」と騙して連れ出して密殺するなどポルポト政権は対抗勢力になりかねないものを先もって処分することで権力維持を図った。さらにベトナム軍が助けの勝利だったのを隠し反ベトナムが親ベトナムを粛清すると二次抗争が翌年からはじまった/慈悲深いタイも難民の奔流に困り果て「戻れば殺される」と哀願する流入民を軍用トラック荷台に乗せて返送…2023/06/22
みわ
2
ポルポト派がカンボジアを占拠し、そこからどろどろの内戦に向かっている時期にシェムリアップからタイの国境へ逃げ、生きた少女の物語。家族との幸せだけを願って。 児童書なのですが、児童に読ませるには、最初にもう少し解説が要るかと。彼らは全然知らない言葉や世界に対してのアレルギーがあるので、核心に着く前に飽きてしまうかも。こんなに胸に響く物語なのに。2015/08/20
がんぞ
1
ベトナム戦争(後期)中、シアヌーク陛下は「父に譲位」し「殿下」となって反米行動を呼びかけた。自らは北京に退避。’75年、赤色クメール兵によりブノンペン陥落。折しも訪中中の池田大作は殿下に祝意…。地獄のポルポト支配(少年兵を使用しインテリ全員を処刑。人口1/3減)からベトナムの干渉により傀儡政権と内戦状態。国連は難民保護以外は中立。中ソが対立して双方に武器援助←以上が背景/著者は中国系ビルマ生れ。タイ国境で難民少女との出会いで執筆。’91年「残存難民25万/「兵士になりたい」兄を説得して断念させる奇跡的結末2018/01/21




