内容説明
舞台は中央ヨーロッパの大山脈リーゼンゲビルゲ。深い森に、山の頂に、はたまたふもとの村に、七変化のリューベツァールが現われます。精霊がくりだす魔法のいたずらに、村びとや山の旅びとたちは泣いたり笑ったり―。戦争によって生まれ故郷を追われたプロイスラーが、山の精霊と遠いふるさとを思いつつ書きあげた、リーゼンゲビルゲの山国への愉しくも切ない民話の旅。
著者等紹介
プロイスラー,オトフリート[プロイスラー,オトフリート][Preussler,Otfried]
1923年、旧チェコスロヴァキアのボヘミア地方、リベレツ(ライヒェンベルク)に住むドイツ人の家に生まれる。ドイツを代表する児童文学作家。『大どろぼうホッツェンプロッツ』ほか多くの名作が、さまざまな世代に親しまれている。第二次世界大戦での過酷な捕虜体験をもつ
ホルツィング,ヘルベルト[ホルツィング,ヘルベルト][Holzing,Herbert]
1931年、ドイツのトリアーに生まれ、2000年、同地に没する。ドイツの著名な挿絵画家。プロイスラーとの共同作業はとりわけ評価が高く、数々の作品を手がけた
吉田孝夫[ヨシダタカオ]
1968年、鳥取県生まれ。ドイツ文学者。京都大学大学院文学研究科博士後期課程修了。博士(文学)。現在、奈良女子大学文学部准教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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KAZOO
96
プロイスラーの作品はドイツ文学となっていますが、彼の生まれはもともとボヘミア(チェコ)であってこの作品はポーランドとの国境にあるリーゼンゲビルゲという山塊に棲んでいた山の神様のリューベツァール(この本の表紙に隠れています)がからむ物語です。短い民話的な話が前後半それぞれ12あり、短いながらも楽しめます。印象に残ったのは彼の他の作品にも出てきたのですが、ボーリングがここでも出てきています。日本の民話も好きですが、ほかの国の民話もいいですね。2025/04/28
やどかり
17
故郷であるボヘミアとポーランドの間に位置する山脈リーゼンゲビルゲに住むという山の神さまリューベツァールのお話だ。日本でこんなにたくさんの逸話を持つ神さまっていただろうか。よっぽど 人の生活の近くに存在を感じさせる神さまだったんだろうな。当時の生活の大変さも伝わるので、正直で貧乏な庶民を助けるヒーローとして、心の拠り所的な意味でも必要だったんじゃないかな。2025/05/17
ぱせり
7
「さいごのお話」がよかった。これまでのお話がみんな「さいごのお話」に向かって集まってきているような気がする。理不尽に奪われ失うものの多い苦難の人生だったことだろう・・・。でも、山の神は、遠くに行ってしまった彼を、忘れても見捨ててもいなかったんだね。 2012/02/23
7petit
5
”リューベツァール”とは山の神様の名前。いたずら好きだが愛すべきこの神様が 旅人や山を行きかう人々に起こした伝説や昔話を綴った愉しく奥深い24の物語です。中央ヨーロッパの大山脈リーゼンゲビルゲの雄大さを感じながら、人間味あふれる神様の采配にクスッとしたりじーんときたり・・・う~んいい本。2012/08/16
きゅー
3
やっぱこういう民話系のは好きだな~。弱きを助け、強きをくじく。ベタで先も読める展開なんだけど、その予定調和がいいんだな~。文体もユーモラスで好き。それにしても、あちらの方の名前の長さと複雑さにはなかなか慣れないわ(笑)2018/08/08