内容説明
おばあちゃんはもう思い出さない。全部消えてしまった。なんて不当なんだろう、世界中を旅したおばあちゃんが見た映像が全部、おじいちゃんからの手紙がおばあちゃんにあたえた感動も全部失われてしまうなんて。だから、わたしは自分自身に誓ったんだ。ヴェロ、あんたがおばあちゃんの記憶をうけつぐんだよって。アルツハイマー病にかかり、つらかった戦争もすばらしかった恋愛も忘れていくおばあちゃんのため、十三歳の少女ヴェロが語る。
著者等紹介
ジャウエン,エルヴェ[ジャウエン,エルヴェ][Jaouen,Herv´e]
フランス・ブルターニュ地方カンペール生まれ。1979年、『赤い花嫁』でミステリー作家としてデビュー。1991年に『地下病院』で推理小説大賞を受ける等、数々の賞を受賞し、ミステリー界の巨匠となる。ミステリー仕立ての『ネス湖のプラチナ』等、少年少女向けの小説や旅行記なども数多く出版し、テレビのシナリオも書く
小野ゆり子[オノユリコ]
中央大学大学院仏文学専攻博士課程満期退学。パリ第8大学専門研究課程留学。文学博士。現在、いくつかの大学で講師を務めるかたわら、翻訳・著作に従事している
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感想・レビュー
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るんるん
23
おばあちゃんの世界に潜って交わすとんちんかんな会話にクスッとなる。記憶を辿る愛に溢れていた。おじ夫婦との対比に高齢化社会の厳しい現実があった。心情的のみならず現実的におばさんに介護は無理であっただろうな。仕事で家をあけることが多そうだから。高齢者の受け皿など、いろんな問題提起も含まれた作品だと思う。2017/08/06
かもめ通信
3
大切なブローチ、素敵なラブレター、ダンスを踊った思い出。少女は大好きなおばあちゃんの薄れゆく記憶を、おばあちゃんの代わりにしっかり覚えておこうと決意する。 それは温かいまなざしに満ちた、愛のある家族の物語に違いないのだが、正直に打ち明けるならば、ママの立場、ヴェロの気持ちからすればもっともな正論も、現実に介護問題と直面しつつある私世代には少しばかり厳しすぎる視線でもあった。 2014/03/27
菱沼
1
認知症の母がいる。母の母も認知症だった。私もそうなるかもしれない。これは美しく哀しい話だと思う反面、自分がしまいこんでいた大切な物を誰かに見られるのは嫌だとも思う。自由と尊厳が失われるのは辛い。物語の中の家族は、おばあちゃんを大切にし、尊重し、出来る限りの自由を保証している。こんなふうにできる家族ばかりではない。しかし、この伯父夫婦を我慢して親戚付き合いを続ける気には、私だったら到底なれない。2014/12/05
みみ
0
アルツハイマー病のことが勉強になりました♪2009/11/11
よっちん
0
図書館2018/03/02