内容説明
タリバン政権下のアフガニスタン。女性は男性同伴でなければ、一歩も外へ出られない。父をタリバン兵に連れ去られ、食糧もつきたパヴァーナの家族が生きのびる唯一の道は?…家族を飢えから救うため、十一歳の少女パヴァーナは髪を切り、少年となってカブールの町で働きはじめる。難民キャンプで取材したアフガン女性の話を元に、タリバンに支配されたカブールのようすと人びとの暮らしを描く。―「わたしたちがここで生きていることを忘れないで!」世界中にとどけ、アフガンの声。
著者等紹介
エリス,デボラ[エリス,デボラ][Ellis,Deborah]
カナダ・オンタリオ州で育ち、17歳のころより、非暴力、平和運動、女性解放、反戦等の政治活動に参加。現在は、トロントの精神障害者の施設でカウンセラーとして働く。カウンセラーとしての仕事のほか、作家活動、アフガン難民を支援するNGOの中心人物として活躍中。『Xをさがして』(さ・え・ら書房)で、2000年度カナダ総督文学賞(児童書部門)を受賞
もりうちすみこ[モリウチスミコ]
1955年、福岡県生まれ。九州大学教育学部卒業
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感想・レビュー
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どんぐり
96
女性の教育と就労を禁じ外出を制限するなど、女性に不自由な生活を強いる旧タリバン政権下のアフガニスタン。本書は、父親がタリバン兵士に連れ去られた家族に押し寄せる過酷な日常を11歳のパヴァーナの目をとおして描いている。生計が断たれた一家の生活を支えるのが、髪を短く切って男の子に変装したこの少女である。市場で文字の読めない人向けに手紙を読んだり書いたり、干し果物とタバコを仕入れて売り歩く。時には、墓場の骨を掘り起こす奇妙な仕事にも手を出す。→2021/09/07
扉のこちら側
60
2018年335冊め。タリバン兵に連行された父。少女は男装し、一家を支えるために働き始める。処刑場のシーンでは昔読んだナチスの絶滅収容所の話を思い出すが、こちらの話は現在進行形の事実である。著者は実際に難民救済に携わっており、主人公も実在の人物がモデルと聞く。続編も読む予定だが、彼女達はいまどうしているのだろうか。2018/07/17
アイアイ
18
タリバンが支配し戦争が20年以上続くアフガニスタン。女性は男性同伴でないと外に出れず、学校も仕事も禁止され、外で買い物も出来ない。 大学時代イギリスで勉強した「西洋かぶれ」という理由だけで、刑務所に連れ去られた父。14歳で亡くなった兄の服で男装し、髪を刈り上げた11歳の少女パヴァーナは、家族を養う為に手紙を読んだり墓堀りで骨を売買する仕事に就く。 人間の骨はニワトリのえさ、食用油、スープ、ボタンにもなると知りゾッとした。難民キャンプでの取材を元にしたお話なのでリアリティがあり救いもない。▽図書館2017/01/24
絵本専門士 おはなし会 芽ぶっく
14
教育出版国語 5年生 【平成27年度教科書掲載本 令和2年度教科書掲載本】 アフガニスタンが舞台。11歳の少女パヴァーナはお父さんをタリバン兵に連れていかれ、食べるものが無くなった家族のために、長い髪を切り男の子のふりをして町で働き始めました…。2015/06/19
多津子
13
20年ほど前のタリバン政権下のアフガニスタン。かつては交易で栄え、豊かで美しい国は今や見る影もない。学校は閉鎖され、男性同伴でなければ外出することは許されず、出ても店で買い物することすら禁じられている。父を連行され男手を失った家で、少女は髪を切り少年となって働きに出る。そこで再会したかつてのクラスメイト。彼女も同じように少年として働き、国外へ出ることを夢に見る。最後に交わした約束は20年後にパリで再会すること。少し前なら叶ったのかもしれない。しかし再びかの国はタリバンの勢力下となってしまった…。2021/10/24