内容説明
4人は大きなマーケットに入ると、カートを引っぱってきた。それから、あふれるほどの食料品をじっと見た。きれいにパックされた食料品。4人とも、こんなにたくさんの食料品を見たことがなかった。そして、だまったままじっと立って、ほかの人が買い物をするようすを観察した。そのあとやっと、そろそろとたなにそって歩き出した。―この本の作者カーリン・ギュンディッシュとその家族が、ルーマニアからドイツに移住して実際に体験したさまざまな出来事。小学中級から。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ゆるり
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児童書。移民(移住)のお話。1984年ルーマニアからドイツへ移住した、あるドイツ系住民一家のお話。ルーマニアの国の歴史は複雑。ロシア、オーストリア、オスマントルコ帝国などの支配を受け、1919年に独立も、第2次世界大戦でドイツ側に参加して敗戦。戦後はソ連軍が進駐し、社会主義国家に。この際ドイツ系住民の男性多くは、労働力としてソ連に強制連行され、その後は、ルーマニアではなくドイツに帰されたということで、家族は離散。ルーマニアに残った人々は、少数民族として抑圧を受ける。この本を読んで初めて知った悲しい歴史。2017/03/23