内容説明
貧しい生まれのフィリピン政治家として、賄賂や役得を権力の証しと考えて、私腹をこやしたマルコス。著者は、怒りに燃える検察官さながらに、あらゆる腐敗の噂を徹底的に追求する。野心家のマルコスと、欲望の虜となったイメルダの、一族が織りなす栄光と転落のドラマ。
目次
心の病い―プロローグ(王朝の地下水脈;富と権力の源)
1 フェルディナンドとイメルダ―宴の前(卑劣な殺人;タクロバンの薔薇;抗日戦のヒーロー;山下将軍の金塊―隠匿)
2 近代化の旗手―夢と欲望(不自然な行動;マラカニアンのカウボーイ;目先の利益;隠された議題;気前のよいレディー)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
印度 洋一郎
4
20世紀フィリピンの独裁者マルコス大統領の評伝。上巻は生い立ちから1969年まで。ルソン島北部のイロコス地方の華僑の血を引く一族に生まれ、本人は第二次大戦下は「抗日ゲリラを率いて占領日本軍と戦った」と言っていたものの、実際は密輸や窃盗が主で日本軍にも協力しながらゲリラとも繋がる融通無碍な私兵集団だったらしい。そのマルコスと共に妻イメルダの半生、そしてフィリピンの近現代政治史も併せて記述されているので、色々とわかりやすい。オリガルキーと呼ばれるフィリピンの支配層とアメリカとの関係が政治を動かしていた。2022/07/19
ゆうろう
0
約35年前のフィリピン情勢を思い出しながら興味深く読了。読み物的には面白いが、書かれていることが事実なのかファクトチェックが必要と思う箇所多数。P305のビートルズの件は眉唾物だったが、確かにそういう出来事があったとは❗️比国現代史に於ける米国との強い繋がりを改めて実感。歴代の米大統領が民主共和関係なく、マルコス政権の腐敗に手を貸していたかもよく分かった。マッカーサーという人物は日本では被占領期の総司令官ということで偉人視されがちだが、実は大した人物ではないな。マルコスという人物は記憶力抜群だったのか。 2022/10/15
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