内容説明
写真花嫁として渡米し、家族のために働きつづけた一世女性。第二次大戦に青春を奪われた二世女性。アメリカ社会での新たな役割を模索する三世女性―。多くを語られることのなかった彼女たちの人生記録が、二世の著者によって、いま綴られる。
目次
母たちが伝えた日本文化
三世代の日系女性の歩み まえがき
1 一世の時代―子どもたちのために(海を渡った最初の女性たち;一世女性の家庭生活;家計を補う仕事;日系社会での役割;母としての戦中・戦後;お母さん―ある一世女性の肖像 グレース・シバタ)
2 二世の時代―戦争に翻弄された青春(真珠湾までの平穏な日々;日米両国のはざまで;強制収容所での生活;有刺鉄線の向こうへ;日本にとり残された人びと;戦後の復興の中で;広がりゆく世界)
3 三世の時代―新しいアイデンティティを求めて(成功の陰に;「人種のるつぼ」とアイデンティティ;さまざまな道)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
印度 洋一郎
4
アメリカに日本人が定住し始めた1890年代から、三世がアメリカ各界へ進出していく1980年代の約百年、三世代に渡る日系アメリカ人女性達の軌跡を資料と証言から構成する。売春婦に始まる一世女性は大挙して来米した写真花嫁が基礎になり、アメリカ生まれの二世女性は戦前の差別と戦時中の収容所暮らしを経験しながら社会的階層を上昇させ、戦後生まれの三世女性は更に社会的地位を確立していく、というのが大まかな流れ。只、女性の視点から見ると男尊女卑で家制度が根強い日系人社会には、アメリカ社会との価値観のギャップもあった。2021/03/01