内容説明
米ソ和解時代の開幕で安堵した世界を動転させ、またしても世界経済を混乱させたイラクのクウエート侵攻。パレスチナ問題と石油をもつ中東は「世界の火薬庫」であり、アラブは現代史の焦点である。本書は、今日のアラブ人を形成した歴史風土を背景に、その感情と反応、発想方法、生活観、伝統と宗教、社会意識と国家意識などアラブ人の特性を、豊かな資料と繊細な目で、総合的に明らかにしたものである。
目次
プロローグ だれがアラブ人か
1 感情と反応―個人としてのアラブ人
2 アイデンティティと忠誠心―集団としての政治意識
3 アラブ人の生き方―慣習・宗教・イスラム文化
4 アラブ人の心―異質文化への拒否反応
エピローグ 復活する世界の十字路
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
印度 洋一郎
4
著者はレバノン系アラブ人で、執筆した50年代にはアメリカの大学で教鞭を執っていた女性研究者。アラブ人のいわゆる民族性について、欧米人にもわかるように解説してくれている。「アラブ人の基本的な単位は家族や部族、個人という意識は薄く、国家やいわゆる社会という概念も乏しい」「アラブ人は自己中心的で、客観的な思考は持たない」「近代社会を築いても情実で動き、公共性というものがない」「このような気質は生存が過酷な砂漠や、歴史上長く続いている貧富の差が極端で下位の者へ抑圧的な社会構造によって生じる」など。2024/03/06
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