内容説明
アフリカからの難民をイタリアが堂々と受け入れ拒否し、EU内では政権参加するポピュリズム政党が増加、ロシアの軍事的脅威には徴兵制復活の動きで対抗する…。ギリシャの共通通貨ユーロ離脱は一応回避し、一見、落ち着きを取り戻したかのように思える欧州。だが、エリートたちが目指す理想とは裏腹に、普通の人々の不満は鬱積し、むしろ深化していた―。9年半のベルリン特派員経験を持つ著者が、緊張の現場を丹念に取材。米・英に続く、ヨーロッパの「本音化」というべき現象が、EUの協調を崩し、世界の衝突の震源地となる!
目次
過ぎ去らない危機
第1部 難民とロシア 二つの最前線(レスボス島のEU旗;泥濘のリトアニア軍演習場へ)
第2部 右傾化と分断 内在化する脅威(難民受け入れの現場から;ポピュリズムの実相;ユーロが生む貧困と格差)
漂流するヨーロッパ
著者等紹介
三好範英[ミヨシノリヒデ]
1959年東京都生まれ。東京大学教養学部相関社会科学分科卒。82年、読売新聞入社。90~93年、バンコク、プノンペン特派員。97~2001年、06~08年、09~13年、ベルリン特派員。現在、編集委員。『ドイツリスク「夢見る政治」が引き起こす混乱』(光文社新書)で第25回山本七平賞特別賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
もりやまたけよし
30
最近のヨーロッパの事情をさらっと垣間見る感じの本でした。著者の得意なドイツ側の情報に、ギリシャやリトアニアを絡めた感じでしょうか。半分ルポ記事になっていて、現地の旅行をしたいと思いました。2020/12/10
うえ
10
北アフリカから地中海を経て欧州に至る難民は2013年以降急増する。15年にイタリアへ15万人。バルカンルートでは86万人入ったという。ドイツへは15年、89万人流入し、18年までに140万人近くが流入。メルケルの支持率に影響が出、厳格な難民規制を行い、年間上限を20万人とした。難民認定されなった人は年間2万5千人程だが、実際送還できたのは1万人程で、残りは「申し出た場所に現れず、中には姿をくらました者もいる」。18年にはトーゴ難民をイタリアに送還しようとした所。二百人が抵抗し警察隊を投入しているという。2021/01/03
マネコ
6
イギリスのEU離脱、難民問題、徴兵制の再開など大きな共同体の中でそれぞれ自国利益・不利益から分断し始めているEUの問題を2019年現在でも最新の情報でまとめられています。当事者の声を聞き、溝が深まっているなという場面が多かったので、これ以上大きくならないようにしてほしいというのと他人事ではないので対立を深めないようにと再認識しました。2019/10/26
もけうに
4
新聞のコラムのような無味乾燥な文体。移民・難民問題の難しさが現地でのインタビューを通じた実感を伴って書かれており、興味深くある。2020/12/13
abs862618
3
様々な角度から取り上げてあり勉強になり面白かった。個人的には、読んだことのあった『西洋の自死』や、オーストラリアでの話題で知った孔子学院にも言及されていたりしたことで一層理解が深まった。2019/06/16
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