内容説明
カラス屋の朝は早い。日が昇る前に動き出し、カラスの朝飯(=新宿歌舞伎町の生ゴミ)を観察する。気づけば半径10mに19羽ものカラス。餌を投げれば一斉に頭をこちらに向ける。俺はまるでカラス使いだ。学会でハンガリーに行っても頭の中はカラス一色。「地方のカフェにワタリガラス(世界一大きく稀少)の標本がいる」と聞けば、道も店の名も聞かずに飛び出していく。餓死したカラスの冷凍肉を研究室で食らい、もっと旨く食うにはと調理法を考える。生物学者のクレイジーな日常から、動物たちの愛らしい生き方が見えてくる!
目次
カラスは女子供をバカにするか
天国に一番近い地獄
味覚生物学のススメ
ウミガメと握手
新宿クロウズ
ナイトミュージアム
謎の生物「ヨソモノ」
ケダモノ5班の彷徨
実録!木津川24時
青くはなかったが美しきドナウ
調査職人
著者等紹介
松原始[マツバラハジメ]
1969年、奈良県生まれ。京都大学理学部卒業。同大学院理学研究科博士課程修了。京都大学理学博士。専門は動物行動学。東京大学総合研究博物館勤務。研究テーマはカラスの生態、および行動と進化(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
トムトム
20
先日、ヒールでガシガシ歩いたら膝を壊してしまいました。結構な年齢なのにフィールドをガシガシ歩ける研究者さん、すごいなぁ!私も昔はヒールでもガシガシいけたのに…。閑話休題、まだ書いていない持ちネタがあったのね!という松原先生節全開の本でした。2023/04/30
クナコ
20
初読。著者の本は3冊目。カラス好きならば読まねば、と裏表紙も確認せずに購入。内容としては「カラス屋の双眼鏡」に近い。著者は自他共に認めるカラス屋(研究者)であるがその経験は多岐にわたる。鳥類全般の専門家であると同時に全国各地に足を運ぶ動物好きのフィールドワーカーでもある。それはもう「動物行動学者の愛と大ぼうけん」のネタも尽きないだろうとも。ふざけたタイトルをつけるだけあって語り口もラフで親しみやすい。学生時代から2000年代にかけての四方山話をランダムに紹介しているがどれも非常に興味深い。2019/06/11
阿部義彦
19
カラスの教科書で一躍有名になったカラス屋、松原始さんの新書新刊です。前に同じ幻冬舎新書のレビューで題名が内容を表してない(「日本の没落」でしたが)ことがままあります。この新書でも巻頭で著者が看板に偽りがありますと謝ってます。曰くこのようにキャッチーな部分をそのまま書名にすることはある事とはいえ、私は昔それで勘違いして買って激怒した事がある。この書名は非常に心苦しい。だが版元さんに「その方が売れる」と判断されたら仕方がない。云々幻冬舎さんは結局売る為には何でもするみたい。見城徹逞しいわー。褒めてません!2018/08/01
こつ
15
カラスをはじめ、動物の観察から広がる冒険にわくわくします。語り口が軽妙なおかげかスイスイ読めます。研究者の方は至って真面目なんでしょうが、なんだか大人が全力で遊んでいるように感じました。きっと好きなものに全力投球できるから楽しそうに見えるのでしょう。いいなぁ。カラスは食べたくないけど私も好きです。2020/12/09
おーすが
13
カラスの研究者、ひいては生物の研究者たちが日頃どんな苦労と努力で研究を続けているかということがわかる一冊。軽快な文章でサクサク読めて、結構笑えて、ちょっとためになる。とり天冠島の話がいい。風切羽根はプライマリー。カラスはレバーの味で、私たちはどこかで少しだけ接しながらすれ違っていく。煽動的な?タイトルとは違い中身はおおらかな感じでそこも良かったな。 2020/02/27