内容説明
あらゆる文化はいずれ衰退する―。百年前にそう予言し、当時のヨーロッパで大論争を巻き起こしたドイツの哲学者オズヴァルト・シュペングラー。彼が『西洋の没落』で描く経済成長の鈍化、少子化、民主主義の死といった事象は、今日の日本が直面する問題そのものである。日本はこのままどこまで堕ちるか、それとも抗う道はあるか。気鋭の評論家が今だからこそ『西洋の没落』を繙き、そこに解を得ながら日本人の生き方を問い直す画期的な書。
目次
第1章 経済成長の終焉
第2章 グローバル・シティの出現、地方の衰退そして少子化
第3章 「ポスト・トゥルース」の政治とポピュリズム
第4章 リベラリズムの破綻
第5章 人間と技術
第6章 金融の支配
第7章 貨幣と財政
第8章 予言の方法
終章 日本の運命
著者等紹介
中野剛志[ナカノタケシ]
1971年、神奈川県生まれ。評論家。元・京都大学大学院工学研究科准教授。専門は政治経済思想。96年、東京大学教養学部(国際関係論)卒業後、通商産業省(現・経済産業省)に入省。2000年よりエディンバラ大学大学院に留学し、政治思想を専攻。01年に同大学院より優等修士号、05年に博士号を取得。論文“Theorising Economic Nationalism”(Nations and Nationalism)でNations and Nationalism Prizeを受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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さきん
31
シュペングラーの西洋の没落を下敷きに西洋を後追いしてきた日本の没落を考察する。現存在と覚醒存在を使っての都市社会化が文明の黄昏と導く過程を図示で明快に解説。詳しくはご覧あれ。文明を季節や寿命のように観察して研究するのは面白い。しかし、共産主義者のように革命の到来を歴史の規定路線と決めつけるような愚は避けたい。日本の没落を防ぐ手立ても本書には隠されている。2018/09/17
hk
25
大戦末期の1918年に刊行されたのがシュペングラーによる「西洋の没落」だ。フランス革命以降、進歩的知性主義によって西洋が東洋に優越し続けてきた。しかしその進歩的知性主義の帰結が欧州全体の荒廃だったと判明した頃合いで、この「西洋の没落」が出版されシュペングラーは一躍時の人となる。…暗黙知と知性、文化と文明、精神と物質、農地定住と世界都市、市民と大衆…。歴史法則主義と進歩主義を否定し、歴史は春夏秋冬季節のように循環するとしたシュペングラー。刊行から百年、改めて大書を紐解きながら現代社会の病巣を指摘していく。2018/07/05
阿部義彦
21
うーん!題名に騙された感じです。これは素直に『シュペングラー「西洋の没落」をひもとく』ぐらいでいいんじゃないですか。私はてっきり所謂今の安倍麻生の腐れ自民党政権に至るまでの阿呆ぶりやものづくり技術の衰退ぶり、付和雷同の日本気質を批判する本かと思ってしまいました。約9割がテキストの解説に始終して終章「日本の運命」なんて殆ど付け足しで何も言ってないに等しいです。うーんこれが幻冬舎商法と言うやつか?見城徹さんおせーて?2018/07/15
こも 旧柏バカ一代
16
西洋の没落。そちらも読んだらもっとわかるのかな?貨幣の独裁、現在の貨幣理論。日銀の当座預金に金が貯まっていても需要が無いと預金は増えない。今の貨幣を補償しているのは納税ってのが、、って事は役所関係の予算。特にインフラ関係はいくら創造しても良いって事?うん、なんかちょっと違う気がする。またゆっくり読もう。2023/08/09
羊山羊
15
西洋の没落、ファウスト、西洋の自死の3冊を紐解きながら近代の西洋的観念がいかに窮地に立たされているかを述べる1冊。日本がほぼ関係ないことを注意すれば西洋の近代哲学を述べると同時にその行く末を舌鋒鋭く非難する1冊として注目の本。ただ、自分の知識のなさもあるが、古典と現代をやや拙速に結び付けているような気もしてあまり集中できなかった。もう少しゆっくり、詳しく書いてほしかったと願う1冊。2019/06/17