内容説明
日本人にとって「縁起」「因果」「他力本願」「輪廻」「煩悩」という身近な言葉は、みな仏教の言葉だ。多くの家には仏壇があり、お盆になると帰省してご先祖様の墓参りをし、人が死ぬと仏式で葬式をあげる習慣がある。日本人は仏教でできているのだ。しかし、私たちの多くは毎日お寺に行ったり念仏を唱えたりはしない。では、仏教とは何か―。宗教を平易に説くことで定評のある著者が、日本人なら耳にしたことのあるキーワードを軸に仏教を分かりやすく解説。仏教の歴史、宗派の違い、一神教との比較など、基礎知識を網羅できる一冊。
目次
第1章 「無宗教」の中の仏教
第2章 仏教のなじみやすさ―四つのポイント
第3章 仏教のキーワード
インテルメッツォ 仏教FAQ(よく聞かれる質問)
第4章 仏教の歴史と日本の宗派
第5章 仏教を通して学ぶキリスト教とイスラム教
付論 『銀河鉄道の夜』の中の仏教
著者等紹介
中村圭志[ナカムラケイシ]
1958年生まれ。北海道小樽市出身。宗教研究者、翻訳家、昭和女子大学非常勤講師。北海道大学文学部卒業、東京大学大学院人文科学研究科博士課程満期退学(宗教学・宗教史学)(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
1 ~ 1件/全1件
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
こつ
14
葬式仏教の言葉があるように、文化的に仏教の考え方が染みこんでるはずなのに仏教のこと漠然としか知りませんでしたが、とても勉強になりました。日本では神道、中国では儒教、道教と結びつくなどしたたかというかかなり柔軟性のある宗教だということがわかりました。宮沢賢治の世界観にも密接に関わりがあるとしってびっくりでした。キリスト教もイスラム教も仏教も利他的であることが求められていて、逆に余程意識して気をつけていないと利己的になってしまうのが人間なのだなとも思いました。2020/12/27
羽
12
☆☆☆☆ 読む前は南無阿弥陀と南無妙法蓮華経の違いすら知らなかったので、読み進めるうちに目からウロコがぽろぽろ落ちました。宗教ときくと身構えてしまう人は、文化や教養として仏教を知ると考えてはいかがでしょう。如来と菩薩の違いがわかると仏像巡りも一層楽しくなりそうです。余談ですが、ダルマさん人形は禅宗の祖・菩提達磨(ボーディダルマ)が座禅する姿であり、ダルマのまるっとした姿はボーディダルマという名前の響きにぴったりだと思いました。2019/10/04
樋口佳之
11
仏教は個人が悟りに至るための修行を旨とする宗教。自分は日本社会の社会的連帯への忌避感の原因が無宗教性の中にあると思っていたのですけど、仏教の教えの中にある弱さが露わになっているのが今なのかもと思いました。/修行好きも同じで、職場に働きに行くことを「お勤め」って言ったりもするでしょう。仏壇の前で念仏をとなえるのも「お勤め」なんです。/自分は仏教なんて何の関係も無く生きてるよって言う方は一度は仏教関係の解説読まれた方が良いと感じました。2016/12/25
syuntaro
9
【身近だが難解な仏教を平易な言葉で解説した仏教入門書】日本人にとって仏教は身近な存在であり日本文化に溶け込んでいるが、その本質について尋ねられた時、答えに窮してしまうのではないかと思う。本書は仏教の専門家である中村氏が、仏教とはいかなる宗教かを平易な言葉で説明し、仏教の基礎知識を網羅できる一冊だ。仏教の歴史や宗派の違い、一神教との比較など平易な言葉でわかりやすく解説してくれている。また、宮沢賢治の代表作である『銀河鉄道の夜』に見られる仏教世界など、ユニークな視点から解説されていた。大変わかりやすく読めた。2018/01/09
keisuke
7
構成的に既読感があって飽きるところもあったが全体的に分かりやすくて面白かった。特に宗派の違いのところなんかは良かった。2016/11/04