幻冬舎新書<br> アウトサイダー・アート入門

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幻冬舎新書
アウトサイダー・アート入門

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  • サイズ 新書判/ページ数 339p/高さ 18cm
  • 商品コード 9784344983755
  • NDC分類 702.06
  • Cコード C0295

内容説明

アウトサイダー・アートとは、障害者や犯罪者、幻視者など正規の美術教育を受けない作り手が、自己流に表現した作品群。40年間、小さなアパートで空想の戦争物語を挿し絵とともに描き続けたヘンリー・ダーガー。手押しの一輪車を心の支えに33年間、石を運び、自分の庭に理想宮を作り上げたフェルディナン・シュヴァル。12歳で入った養護施設で貼り絵と出会った山下清。彼らに通底するのは社会からの断絶によって培われた非常識な表現手法。逸脱者だからこそ真の意味で芸術家たりえた者たちの根源に迫る。

目次

序章 誰がアウトサイダーなのか(静かで大きな波;外道としてのアウトサイダー ほか)
第1章 老人たちの内なる城(フェルディナン・シュヴァル;サイモン・ロディア ほか)
第2章 極限に置かれた者たち(渡辺金蔵;三松正夫 ほか)
第3章 権威からの逸脱(ルイーズ・ブルジョワ;ジャン=ピエール・レイノー ほか)
終章 アウトサイダー・アートの真実(山下清と八幡学園の子どもたち)

著者等紹介

椹木野衣[サワラギノイ]
1962年埼玉県生まれ。美術評論家。多摩美術大学美術学部教授。同大学芸術人類学研究所所員。同志社大学卒(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

海猫

92
とても読み応えのある内容で予想以上に興味深く、食い入るように読んだ。採り上げている芸術家たちの人生、在りようがそれぞれに凄絶であったり奇妙であったり常識破りだったりで驚嘆。著者の語り口がエネルギッシュで読み物としても面白かった。どのように奇抜な「アート」なのか、なぜに各人が「アウトサイダー」であるのか、くっきりテーマ性を打ち出す姿勢もたいへんわかりやすい。秘めたる情熱を作品にする異様な執念には、感銘も受けるし、理解不能に思えたり、畏怖もする。なんにせよ人間の根源的パワーは大いに感じた。2017/04/29

harass

73
既存の芸術教育を受けずに、独力でアートを極めた、障害、孤絶、隔離のなど、アウトサイドの人たちが作る芸術についての考察と彼らの紹介。シュヴァル、ヘンリー・ダーガー、山下清、田中一村、出口王仁三郎など。彼らの作品の図版はほとんど掲載してないのが残念。これらの異端の芸術から、本流、既存の芸術とはなにかを照射し新しい芸術を模索していく。彼らの生涯の紹介が多いせいか、この著者のほかの評論本と印象が少し違う。それでもなかなかの鋭い論調がある。アウトサイダーアートとしての、ブルースや「日本人」など感心した。良書。2017/09/06

ヒロミ

55
壮絶な内容に身震いがするほどだった。本書に登場する芸術家たちは皆、言葉を失うほど悲惨な体験をした人々ばかりで、もし芸術の神がいるとしたらなんと残酷なのだろうかと思う。彼らの作り上げた「作品」は永久凍土に根を張る木のようにしぶとく、粘り強く、己が環境をバネにするなんて生易しい言葉では済まされないほど毒々しく咲いた血の涙である。ヘンリーダーガーに興味を持ち本書を読んだが、出口なおや田中一村、山下清の生き様に衝撃を受けた。アートって何だろう?三たび自分の心に問いかけるばかりだ。2016/02/28

ころこ

35
アウトサイダー・アートとは、社会の境界人によるアートと同時に、西洋美術の境界という意味でもあります。この場合の西洋美術は、美術の権力をはじめ、西洋の歴史も含意した価値の総称です。アウトサイダーの我流の表現が、アートに揺さぶりを掛けて、その再定義を迫ります。もっとも内部による外部の発見がなければアウトサイダー・アートも無いとみると、これは内部が外部を取り込む過程ともみえます。アートの鑑賞と意味の解釈とは見ずに、ただ彼らは何かをつくり、本書は彼らの評伝だとみる方が、むしろアウトサイダーの語義に近いといえます。2019/10/20

№9

33
「○○入門」という無味乾燥なタイトルとは裏腹に、著者が印象的な「アウトサイダー・アーティスト」とあげる芸術家たちの壮絶な物語が、著者の熱い語り口とともに綴られている。先に呼んだセーラー服歌人鳥居の境遇を彷彿させるものもあれば、世に出ること、ひとに見られることさえ拒絶しているものもある。芸術とは何か、人が創造して作り上げていくものとは何か、ここに挙げられたアーティストたちのそれぞれが放つその問いかけにしばし絶句する以外ない。「入門」と言いつつ読んでいて、もはやインとかアウトとかの境など無いのだと知る。好著。2016/12/15

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