内容説明
何歳まで生きたいですか?大往生は万人の願望。マスコミは90歳を超えても元気な「スーパー老人」をもてはやし、死ぬまで健康であるべきだという圧力は強まる一方だが、いま現実はどうなっているのか。現役医師2人が、誰も本当のことを言わない高齢者の生き方・老い方・逝き方を赤裸々に語り合った。アンチエイジングを謳い、高齢者を飯の種とする医療界はどこまで信用できるか?そもそも医者の多くがなぜがんになるのか?大往生は可能なのか?等々、遅かれ早かれ誰もが直面する生死の真実。
目次
第1章 長生きは、怖い
第2章 医者は信用できるのか
第3章 自然死は、怖くない
第4章 なぜ「死ぬのはがんに限る」のか
第5章 医者もがんになるのはなぜか
第6章 患者に「嘘の希望」を与えるな
第7章 尊厳死の理想と現実
第8章 思い通りの死に方
著者等紹介
中村仁一[ナカムラジンイチ]
1940年長野県生まれ。社会福祉法人老人ホーム「同和園」附属診療所所長、医師。京都大学医学部卒業。財団法人高雄病院院長、理事長を経て、2000年2月より現職。96年から市民グループ「自分の死を考える集い」を主宰
久坂部羊[クサカベヨウ]
1955年、大阪府生まれ。作家・医師。大阪大学医学部卒業。2003年、小説『廃用身』でデビュー(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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GAKU
61
「現役医師2人が、誰も本当のことを言わない高齢者の生き方・老い方・逝き方を赤裸々に語り合った。」との内容紹介に興味を持ち、読んでみました。100%この内容に賛同するわけではないが、高齢だがまだ元気な母や、自分自身の”死”と言うものに対し、どう向き合うべきかの参考にはなった。20年ほど前に父は肝臓がんで亡くなったが、今思うと良い亡くなり方だったと思える。私も無駄な延命治療だけは拒否したい。 2019/04/19
アキ
47
2人とも医師の立場で「死ぬこと」や「老い」を直視していない人が多いことと命を長引かせるだけの医療を痛烈に批判している。フランスでは2005年レオネッティ法・終末期患者の権利法を制定し治療中止を合法化した。スウェーデンでは医者から胃瘻を勧めることはほぼない。社会の常識から法案になるのが理想的。中村氏「自分の死を考えるための具体的な方法」のうち自身も行なっているのは棺桶に入ること。人生観が変わり老いを受け入れるようになると。共に父の死を経験し、医師としての経験より身内の死が考えの基本となっていることがわかる。2019/05/06
団塊シニア
47
体の不調を齢のせいです、といわれるより病気です、といわれたほうが喜ぶ高齢者が多いという内容には説得力がある。2015/07/02
アーモンド
22
多くの死や老いを実際に目にしているお二人ならではのお言葉。納得しました。とはいえ重い内容ではなく、生殖機能を終えた後どう生きるかという事を考える重要性が、前向きに語られている。親も含め自分も元気なうちに読むといい本だと思いました。老いも死も未知であり抗えないもの。それをすっと受け入れることは、簡単ではないなぁとは思いつつ心がけたい。2020/09/01
ユーユーテイン
21
母が「ラジオ深夜便」で久坂部羊氏の講演を聞き、死ぬ怖さが薄らいだと言っていたので興味を持った。本書は、中村氏、久坂部氏、主張を同じくする二人の医師の対談である。主張とは、繁殖期を終えた六十代以降は、老いや病を受け入れ、余計な医療行為を加えない方がよい、ということだ。私も延命治療のための胃瘻や点滴などはしたくない。そのためには、延命治療を受けない覚悟と、困難や苦しみに耐える精神力が必要なのだとわかった。また、「納得のいく生き方」をするために、自分史を書きたいと思った。 2014/03/15