内容説明
地震・津波・火山・台風・雪・土砂災害…地球上最も災害の多い島国でいつ襲いくるともしれぬ過酷な自然と向き合い、そして被災した我々の祖先はその土地土地に「ここは危ない」というメッセージを地名として付けてきた。現在もその古い地名の分析が次の災害の予想・対策につながる。だが、いま市町村合併や観光開発など目先の利益優先の安易な地名変更政策のせいで古い地名が次々に消えている。いまこそ先人の知恵の結晶に学べ!半世紀以上、地名のことばかり考え続けてきた著者による「災害地名学」のすすめ。
目次
はじめに 「災害地名学」のすすめ
序章 原発は津波常襲地に建設された
1章 地名が教えていた東日本大津波
2章 地名は災害の記録である
3章 災害にはキーワード地名がある
4章 災害危険地帯の地名を検証する
5章 三大都市圏 怪しい地名を検証する
著者等紹介
楠原佑介[クスハラユウスケ]
1941年、岡山県生まれ。京都大学文学部史学科(地理学)卒業。出版社勤務の後、編集・著述・評論活動に入る。「地名情報資料室・地名110番」主宰、正しい地名復興運動世話人(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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hatayan
42
東日本大震災の起きた2011年に刊行。津波や地震などの災禍の痕跡を先人は地名に託す形で後世に伝え残そうとしたという主張。神戸の六甲山は断層が走る「ムケ(剥け)」に、新潟県中越地震の起きた地域にある芋川は「(災害で)埋もれる」に由来していることなどを実例を交えて解説。市町村合併や安易なブランド化で由緒ある地名が消滅することに著者は当然懐疑的。震災直後で騒然とした状態での執筆だったせいか、文章が感情的で社会批判に脱線しがちであること、地名研究の話題になると主観が先走って論旨が不明になるところが惜しまれます。2020/12/28
ミエル
12
後付けばかり、というか信憑性がない、というかなんとも詭弁ばかりに思えて途中で投げ出した。言葉遊びではない内容を読みたかったんだけどな。2015/08/28
サピエンス
4
近江と遠江はたしかによく見ると近い湖と遠い湖だ、気づかなかった。しかしながら、この本は筆者の目線で書かれておりこの方面の知識がない人には非常に難しい。2019/04/05
いもせやま
4
著者 楠原佑介は在野の地名研究家。歴史的伝統的地名を支持し、自治体が合併後にそれまでの地名と関係ない名前を付けることを反対してる「保守」論客。本書では東日本大震災後に被害のあった地名から、その地名の由来は「地震」に関係しており、先人達の警告があったと指摘。地名から大都市圏や太平洋、日本海沿岸地域の「地震」の警告を行っている。本書で作者の意見として興味深かったの以下の点①言語学者ではないが、さまざまな論理から危険な地名の特徴を上げている。なかには言葉遊びのようなこじ付けのようなものもある(語源学では仕方ない2015/08/28
Humbaba
4
地名というのは非常に深い意味が込められている.何か大きな事が起こったからこそ,そのことを忘れないようにするために特別な名前をつける.自分の住んでいる場所にはどのような意味があるのかを認識した上で用途を定めることが大切である,との主張.2012/05/10