内容説明
当代一のピアニストと名高く独創的なラフマニノフ、熱情と神技のホロヴィッツ、自由かつ情感溢れるルービンシュタイン…他、計10人の大ピアニストが運命的に出会い、からみ合い、それぞれの人生と音楽を変えてゆく―。歴史の流れと共に消えた最後の巨匠たちの物語。
目次
第1章 二十世紀の幕開け―ラフマニノフの再起と天才たちのデビュー
第2章 第1次世界大戦―闘うピアニストたち
第3章 帝国の終焉―アメリカという新市場
第4章 新しい時代の始まり―ホロヴィッツ登場
第5章 レコード時代到来―ルービンシュタイン対ホロヴィッツ
第6章 二つの独裁国家―ピアニストたちの苦悩
第7章 第二次世界大戦―ピアニストたちのそれぞれの闘い
第8章 戦後処理と新たな出発―リヒテルとグールドの登場
第9章 ピアニストたちの和解と決着
著者等紹介
中川右介[ナカガワユウスケ]
1960年生まれ。編集者、文筆家。早稲田大学第二文学部卒業。クラシック音楽・歌舞伎を中心に、膨大な資料を収集し、比較対照作業から見逃されていた事実を再構築する独自のスタイルで精力的に執筆。雑誌「クラシックジャーナル」編集長、出版社「アルファベータ」代表取締役でもあり、これまでに、音楽家の評伝の翻訳書、美術書、写真集、カメラ本、専門用語辞典、雑学本など三百点を編集、出版している(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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巨峰
21
20世紀の10人の偉大なピアニストをめぐるクロニクル。中でも、ラフマニノフ・ルービンシュタイン・ホロヴィッツを中心に語られる。ややロシア寄りかな。人選にはいろいろと異議もあるかもしれないけれど、一つの見解として読めばいいと思う。音楽的な記述は少ない。あとは、自分で聴けと言うことでしょうね!鑑賞の手引きとしてはいいと思う。興味をそそられたので10枚組1200円のホロヴィッツの廉価盤を買って来て聴いています。2011/08/01
こんぺいとう
13
ラフマニノフやホロヴィッツ、ルービンシュタインらを中心に、どのようにして世に名を馳せ、戦争期をどう過ごしたのか、そして晩年にいたるまでがまとめられている。面白いのは人物ごとではなく編年体であること。時代背景や、思わぬ邂逅など興味深かった2015/12/17
さきん
7
私はピアノを少々弾くので、彼らの録音を聴くことがあったが、本書をもって初めて彼らの人生についてわかった。ラフマニノフのピアノ協奏曲は美しいが難しすぎて心憎い。グールドの曲を聴くと自分のピアノでも良いんだと思える。2015/07/08
ケニオミ
7
タイトルに惹かれて読みました。ショスタコーヴィッチが10大ピアニストの一人なの?とは思いました(本文でも説得力なし)が、ピアニスト同士の絡み合いを楽しめました。あまりに膨大な情報を400ページ強に収めたため、歴史の教科書のようになってしまっていますが、10大ピアニストの生涯をを理解するにはうってつけの本だと思います。エピソードがたくさんあったせいか、ルービンシュタインとホロビッツに紙面を割きすぎような気がして、アラウのファンとしては、ちょっと残念!2011/09/16
叛逆のくりぃむ
6
この物語に登場するピアニストの歩みはまさに20世紀の歴史そのものである。壓倒的な技巧を持ちながらも政治や時代に翻弄された彼らの人生に悲劇を讀み取ることができる。2014/03/29