内容説明
一九九八年一〇月三一日、有楽町「日劇」は前日から徹夜で並ぶ何重もの行列に囲まれていた。「踊る大捜査線 THE MOVIE」公開。その日から日本映画の歴史は「踊る以前」と「踊る以後」に大きく画されることになる―物語構成、撮り方、宣伝方法、資金調達など、あらゆる面で日本映画の伝統を打ち破った「踊る大捜査線」。なぜそのような作品が生まれたのか?それは日本映画の進化なのか堕落なのか?「踊る」を知り尽くす一〇人の証言から、空前絶後のモンスターヒットの正体が初めて明らかになる。
目次
序 限りない愛と悔しさをこめて
第1章 不倒の興行収入はなぜ生まれたか
第2章 伝統映画へのリスペクト、そして革新
第3章 ついに現実の警察まで動かした
第4章 「スナック菓子」に徹した作り手の英断
第5章 日本インターネット史に名を刻む
第6章 「空気読みすぎ神経症映画」の快楽
第7章 日本映画の劣化が止まらない
第8章 映画ファンを育てなかった罪
第9章 観客と創り手の関係が劇的変化
第10章 「踊る大捜査線」の法則―僕に見えていたこと、僕が学んだこと
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
koji
16
「踊る~」フリークの私にとって、9月からフジTVで始まったTV、映画の一挙放送は、ワクワク感が止まらず欠かさず見ています。感想を書き残したいと思い、幾つかの関連本の中から本書を選びました。日本映画の歴史を塗りかえたと言われた映画版の功罪を9人の識者と亀山Pの総括意見で纏めたものです。成功の外的要因として誰もが挙げるのは①シネコン、②インターネット、③TV局イニシアティブ。そこは私も同意見ですが、やっぱり最大の要因は、コンテンツの抜群のおもしろさ。その分析では、名越康文さんの意見がピッタリきました→コメント2024/10/06
退院した雨巫女。
12
旦那様が一番大好きで、関連本やビデオたくさんあります。全作品観ました。(笑)2011/02/15
パグレオン改めトニカマ坊や
9
まぁ確かに功もあれば大きな罪もあるかもしれない。けれどこういうのもあってもいいじゃん、てかあって欲しいな。ファイナルで財産を食い潰したと言われている『踊る』シリーズだけど、密かに続編というか鮮やかな未来図みたいなのを期待している、今では稀少なファンだったりします。なーーんてな。2017/02/16
ゆうゆう
6
功罪、踊る~だけでなく日本映画そのものに関してか。映画館に行くようになったのは、近くに映画館ができたここ2、3年。いつも行くのは…シネコンだった!でも、面白いものは面白いし、大きなスクリーンでしか味わえない、映画だからこそがあるとおもう。だから、功しかわからないかな、今は。2017/10/26
fukui42
3
ホイチョイ・馬場監督YOUTUBEで紹介されていて読んだ。「踊る」が残した「功績」をいろんな人が語っている、その中でいくつも共通するワード。「シネコン」「インターネット」「従来の刑事ドラマではないもの」。時代の流れにうまく乗った作品だったのか。確かにあの頃インターネット=BBSがなかったらどうだったろう。あと個人的には「踊る」で省略されるタイトルも、良かった気がする。興味深い一冊。2024/07/28