内容説明
昭和45年11月25日、三島由紀夫、自衛隊市ヶ谷駐屯地で割腹、介錯される―。一人の作家がクーデターに失敗し自決したにすぎないあの日、何故あれほど日本全体が動揺し、以後多くの人が事件を饒舌に語り記したか。そして今なお真相と意味が静かに問われている。文壇、演劇・映画界、政界、マスコミの百数十人の事件当日の記録を丹念に拾い、時系列で再構築し、日本人の無意識なる変化をあぶり出した新しいノンフィクション。
目次
プロローグ 前日の予兆
第1章 静かなる勃発
第2章 真昼の衝撃
第3章 午後の波紋
第4章 続く余音
エピローグ 「説明競争」
著者等紹介
中川右介[ナカガワユウスケ]
1960年生まれ。編集者、文筆家。早稲田大学第二文学部卒業後、クラシック音楽・歌舞伎を中心に、膨大な資料を収集し、比較対照作業から見逃されていた事実を再構築する独自のスタイルで精力的に執筆。「クラシックジャーナル」編集長、出版社「アルファベータ」代表取締役編集長でもある(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ゆみねこ
73
この日、私は田舎の中学3年生でした。学校から帰ったとき、テレビではそのニュースが流れていて衝撃を受けたことは覚えています。当時の人々がどのように事件を受け止めたか、貴重なドキュメンタリー。2018/01/11
とくけんちょ
52
三島由紀夫の自決から受けた衝撃を当時の記録をもとに時系列に沿って浮き彫りにしていく。その数、百数十人。ネットもSNSもない時代、何を感じ、何を思ったのか。断片的に入る事件情報、断片的だからこその各人の思い。今の時代なら、何もかもがあり得ない、三島由紀夫の名前も泡のように消えてしまうだろう。あらゆる世代や世界に影響を及ぼしたことに間違いない。2021/05/22
fwhd8325
45
あの日、私は著者と同じ10歳でした。学校から帰って姉から、この事件のことを聞きました。我が家も朝日新聞を購読していたので、問題の写真もはっきり記憶しています。マスコミの露出も多かった方だけに、この事件は衝撃でした。後に、もう少し年齢が高かったらと考えることがありました。ある時期まで、どのように死ぬかを真剣に考えていたことがあります。一つの事件を、どのように捉えていたか、とても新鮮に読みました。時折、肌が粟立つような感覚もありました。まだ、どこかで三島に憧れているのだと感じます。2017/12/30
金吾
44
三島事件が起きた時や知った時の著名人たちの行動や感想により、事件を俯瞰しておりなかなか面白かったです。檄文や演説も収録されており興味深かったです。2022/09/09
おかむら
41
三島由紀夫が自決した日、人々はどこでそれを知り何を思ったか。作家、政治家、マスコミ、芸能界等120名!の有名人(のちに有名になる人含む)が登場する時系列ノンフィクション。これは超面白かった! よくぞこういう形式を思いつき資料を丹念に探してくれたものよ! 私は当時呑気な小3だったので全然覚えてないのが悔しいわ。三島も1冊も読んだことない。でもでも、作家という枠を超えたスーパースターだった三島があんな事件を起こした衝撃がいかほどだったか、リアルに追体験出来た。そして今と違うマスコミのワイルドさがまさに昭和だ!2017/12/21