内容説明
アメリカを代表する名門紙NYタイムズが2009年末までの3年間で社員の3分の1近い1400人を削減した。西海外の有力紙サンフランシスコ・クロニクルは1200人いた社員の半数近くを解雇。実際09年だけで全米の日刊50紙が消滅するなど、この動きは加速する一方だ。新聞がなくなると街は、国家は、世界は、どうなるのか?新聞が消えた街でネットから得られる地元情報はごくわずか。政治は腐敗し、コミュニティは崩壊に向かう。他人事ではない、日本人必読の書。
目次
第1章 NYタイムズの最期
第2章 廃刊寸前サンフランシスコ・クロニクル
第3章 続々と消滅する新聞
第4章 新聞に取って代わるメディアは何か
第5章 新聞がなくなった街
第6章 日本の新聞はどうなるのか
著者等紹介
鈴木伸元[スズキノブモト]
1996年東京大学教養学部卒業。同年NHK入局。報道局、スペシャル番組センターなどの勤務を経て、現在報道局社会番組部所属。「NHKスペシャル」「クローズアップ現代」などを担当。ギャラクシー賞の奨励賞を二度受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ミカママ
333
8年前の著作なので、現在は状況が悪化しているのでは。我が家が新聞宅配を止めた時期ともかぶるか。名門のNYタイムス紙やワシントンポスト紙の退廃、ネット移行を試みるも苦戦、地方紙の相次ぐ廃刊など。新聞の退廃による問題点がわかり易く提起されているのがとてもよかった。アメリカでの問題は数年後の日本の問題、と言われるが、日本の新聞の構成(利益率の重点、宅配システムの充実)がそもそもアメリカとは違うらしい。ただし若者が新聞、ひいてはニュースに関心がないのは、日本もアメリカも同じ。明るい未来が待つとは思えない。2018/09/01
天の川
24
2010年発刊。かつて自動車の登場で馬車が消えたように、インターネットの普及で急速に進んでいるアメリカの新聞の衰退。経営難に陥った名門紙の状況が抉り出される。知りたいことをネット検索だけで済ませる人々の多くは政治に関する情報に触れる機会が極端に減り、それは民主主義の衰退に結びついていく。現在の日本も恐ろしい勢いでアメリカに追随していることは間違いない。新聞をとっている家庭の割合は大きく低下し、新聞広告はネットを使わない高齢者向けの広告ばかり。北海道地震でのSNSによるデマの驚異的な拡散力を危惧する。2018/09/14
mazda
18
日本でもそうですが、アメリカでも新聞購読数は右肩下がりで減っているようです。特に地方紙の激減は目を見張るものがあるようですが、この影響についてとある大学で調査を行ったそうです。その結果、有権者の政治離れと、地方政治の腐敗が進むだろうということでした。全国紙は地方の細かい部分まで取材を行わないので、地方のことは地方の記者が取材をするのですが、それが行えなくなることで政治が硬直化してしまい、さらに興味を失った市民の目もなくなってしまうため、腐敗していくということです。明日は我が身でしょうか…。2018/09/21
ダンボー1号
9
日本より4.5年早く衰退するIT先進国米国の新聞。新聞がなくなると腐敗進み国民の政治参加も減る。ネットニュースはしょせんWEB新聞の記事転載。日本は全国朝刊紙3誌地方紙各県1紙程度でネットテレビとのバランスは今くらいがちょうどいいかもしれない。 2017/04/11
テキィ
6
記者って何なんだろうねぇ・・・2011/02/05