内容説明
世界中のメーカーが生産現場に導入し、究極のモノ造りと称されたトヨタ生産方式。その100%良品を絶対とする徹底したムダ排除の理念は「人間の能力への限りない信頼」「人間の尊厳への敬意」という哲学から導き出された人生論でもある。生産方式の生みの親・大野耐一氏に仕え、展開に貢献した著者が、リコール問題でトヨタが揺れる今、好不況に左右されない普遍的経営論、画期的人材育成論を交え、その真髄を語る。
目次
トヨタ生産方式との出会い
非常識を常識に変えるイノヴェーション
生産計画は造れる能力?売れる数?
人を育てる
内製?外注?どう決めるのか
減量生産?限量生産?
一人二役
人間尊重・人への敬意と温かさ
著者等紹介
岩月伸郎[イワツキシンロウ]
1945年愛知県岡崎市生まれ。慶應義塾大学経済学部卒。69年、トヨタ自動車工業(現・トヨタ自動車)に入社し、元町工場工務部に配属。70年、張富士夫氏らが指導に訪れた際、トヨタ生産方式と出会う。以降、生産方式の生みの親である大野耐一氏からも直接指導を受け、社内やグループ会社への導入に携わる。99年、同社取締役ヨーロッパ・アフリカ本部長。2001年にはデンソーの常務取締役に。その後、専務、副社長などの要職を歴任。現・顧問(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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Lee Dragon
28
自己否定によってのみ成り立つ創造的破壊は至難の業であることをしみじみと感じる昨今。なるほどと思ったのが、教育と訓練を分けて考えるということ。そして訓練を重視しなければ使い物にならないということ。耳に痛い言葉である。 教える人間を選ぶときの秘訣も書いてあった?真剣に反応する人間を選ぶ…反応しない人間には何も与えられないのだ。私は反応できているだろうか。2020/03/16
安国寺@灯れ松明の火
7
会社の書棚から借りました。率直に言って3割ぐらいは首を傾げましたが(数億円の設備でも決裁するときは黙って承認、導入して使えなかったら即刻撤去、のあたりは特に…)、現場がどうあるべきかを考える良いきっかけになると思います。決めごとやルールはそれらが作られた背景を理解しなければ長続きせず、効果も出ないものです。何かひとつ取り入れれば劇的に改善するような方法も、そう簡単にはありません。世の大人には「ダイエット」という大変身近な例があるわけで、知恵を絞りつつ地道にやっていくのが一番の近道と言えそうです。(続く)2012/10/30
Haruki
6
TPSの生みの親である大野さんから直に学んだ考え方的な部分を中心に平易に説明する。寝かすお金の最小化→スーパーの品補充→後工程引き取り→ジャストインタイムになる。標準作業を決め工程の指標化するが、工程の絶対化はせず、常に改善の緊張感を持つ。タクト管理。小ロットになればなるほど動く費用が小さい。吸収力ある若い時、無理難題への挑戦時が成長(教育→訓練)、その監督者たる意識。品質100%をまず作り込むことこそコスト削減。外注化は簡単に内製に戻せない。現場に身を置くことでの現場の意識変化を理解する。経験知の集合。2024/11/21
ふろんた2.0
4
★★★★2018/07/11
たー
3
トヨタ生産方式の入門書といった感じではなく、同方式を生み出し、広めていった主要人物(大野氏、鈴村氏、張氏、岩月氏=著者)の人間ドラマといった様相。新書としてはなかなか面白いと思います。2010/08/29