内容説明
「困ったときには私に会いに来てもいい。そのときは裁判官としてできるだけのことをします」―公判中、氏名を黙秘し続けた窃盗犯に罰金刑を言いわたして。情を交えず、客観的な証拠だけに基づいて判決を下すのが裁判官の仕事。しかし彼らも人の子。重い刑を言いわたす前には大いに迷うし、法律と世間の常識のギャップに悩むこともある。葛藤を乗り越えて、自らの信条を賭して語りかけるとき、被告人の頑なな心が氷解しはじめる―。ベストセラー『爆笑お言葉集』に続く涙のお言葉集。
目次
第1章 裁判所は悲しくなります
第2章 裁きっぱなしでは終わらせない
第3章 名古屋地裁やじうま傍聴記
第4章 社会の巨悪に物申す
第5章 世界の爆笑お言葉集
第6章 反省の見分け方、教えます
第7章 法律の壁に挑む
第8章 危険運転致死傷罪は宝の持ち腐れ?
第9章 一緒に幸せを探しましょう
著者等紹介
長嶺超輝[ナガミネマサキ]
1975年長崎県生まれ。九州大学法学部を卒業後、弁護士を目指し、塾講師・家庭教師をしながら司法試験を受験。七回の不合格を重ねて懲り、ライターを目指して上京。初の著書『裁判官の爆笑お言葉集』(幻冬舎新書)が三〇万部を超えるベストセラーになる(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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たっくん
80
〇あまりに弁解が過ぎると被害所の家族は怒り、裁判所は悲しくなります。(帰宅途中の女子高生をはね殺人未遂・危険運転致傷罪被告に)〇無期懲役の判決であるが、仮出獄を期待するかも知れない。しかし、そう簡単ではない。君の場合終身かもしれないから覚悟しておきなさい(強盗殺人・死体遺棄の被告に異例厳しい指摘)〇裁判所は人生観を裁くことはできないけれど殺害の責任は問わなければなりません。もっと生きろということかもしれません(承諾殺人の被告に・・裁判官は判決文を読むだけでなく色んな言葉を投げかけている。「爆笑~」の続編。2023/06/12
zero1
61
法廷は社会の縮図。高潔で冷静な裁判官も人間。だから時々、被告人に語りかける。性犯罪は被害者にとって【精神的殺人罪】。少年犯罪と同じく【罪と罰のバランス】に不公平感が生じやすい。海外での社会奉仕命令は日本も活用すべき。冤罪と戦い続けた【昭和の岩窟王】と謝罪する裁判官の話は忘れたくない。ヤミ米を食べず亡くなった山口裁判官。刑法の想定外、新潟監禁事件。割り箸事故と薬害エイズ。酒飲みを保護する日本と危険運転の抜け道。承諾殺人の判断と虐待。裁判員制度がある今(後述)、読むべき一冊。2024/01/23
藤枝梅安
37
「爆笑お言葉集」の続編。40代の若い裁判官の熱い思いが伝わってきて興味深い。この本では、裁判官のお言葉より、著者の解説や感想が多く、裁判官の多忙な毎日、裁判員制度への懸念など、日本の司法制度に関する著者の考えがあちこちに述べられている。「お言葉」の中で印象に残ったのは、戦後の困窮下での裁判官たちの生き方。「ヤミ米を一切食べていない者がいたらここに連れてこい。」(153ページ)。新約聖書ヨハネ福音書の「罪のないものがまず石を投げよ」を思い出す。2011/02/15
ちさと
32
裁判官が法廷で言い渡す刑罰は、被害者感情の肩代わりではない。だけど彼らも法律と処罰感情と計量相場に挟まれて、思い悩みつつも判例にそった決断を下す。でも被告人に言いたいことの1つや2つもある。本書は判決を言い渡した後、被告人に対して言い聞かせた説諭の数々を取り上げて、その事件の全容と、裁判官の「被害者感情の代弁」を読みときます。有名な事件が出てきたり、びっくりするような裁判官のお言葉にドキリ。裁判官の座る法壇の高さは国民の信託の象徴。そう思える素敵な裁判官も登場します。2019/01/10
むつこ
25
シリーズ第2弾。今回は「人情」という題名をつけただけあり、裁判官の人たちが身近に感じられた。被告人のほうがよっぽど冷酷で反省の色が見えていない雰囲気、法の番人の苦労がうかがえるお言葉集。2015/07/21