幻冬舎新書<br> MURAKAMI―龍と春樹の時代

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幻冬舎新書
MURAKAMI―龍と春樹の時代

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  • サイズ 新書判/ページ数 276p/高さ 18cm
  • 商品コード 9784344980952
  • NDC分類 910.268
  • Cコード C0295

内容説明

かつて“W村上”などという呼び方をされた時期もあったが、龍のファンは春樹が苦手で、春樹のファンは龍が嫌いだったりすることが多い。しかし、二人の作品を時代ごとに対比させると、両者とも「アメリカ」「戦争」「セックス」「バブル経済」「崩壊の予兆」「十四歳」など、根っこの部分で驚くほどテーマがつながっていることがわかる。両MURAKAMIの物語によってあぶりだされた私たち自身の時代を振り返る、今までにない鮮烈な試み。

目次

第1章 反逆からの出発―一九七六‐一九八五(“アメリカ”の洗礼―『限りなく透明に近いブルー』VS.『風の歌を聴け』;日本という壁―『海の向こうで戦争が始まる』VS.『1973年のピンボール』;がまんの仕方―『コインロッカー・ベイビーズ』VS.『羊をめぐる冒険』;欲望の行く先―『中国行きのスロウ・ボート』VS.『悲しき熱帯』)
第2章 関係のありかた―一九八六‐一九九五(僕とオレ―『村上朝日堂』VS.『すべての男は消耗品である』;泡の正体―『愛と幻想のファシズム』VS.『ダンス・ダンス・ダンス』;セックスの底―『ノルウェイの森』VS.『トパーズ』;転がる石のように―『イビサ』VS.『国境の南、太陽の西』)
第3章 大人になるということ―一九九六‐二〇〇五(崩壊の予兆―『ねじまき鳥クロニクル』VS.『五分後の世界』;この国で何が起こっているのか―『アンダーグラウンド』VS.『JMM』;十四歳の境界―『希望の国のエクソダス』VS.『海辺のカフカ』;新しいゴールをめざして―『アフターダーク』VS.『半島を出よ』)

著者等紹介

清水良典[シミズヨシノリ]
1954年奈良県生まれ。文芸評論家。高等学校国語教諭を経て、愛知淑徳大学教授。86年「記述の国家 谷崎潤一郎原論」で群像新人文学賞(評論部門)受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

i-miya

45
(あとがき)  『海辺のカフカ』から『アフターダーク』、メタファー駆使した傾向強まる。SF(サイエンティフィック・フィクション)からSF(スピリチュアル・フィクション)へ。龍、長年築き上げた情報ネットワーク、他分野専門家の教唆吸収、新しい時代に通用するためのビジョン模索。政治理念、モラルは無視するに近い。2011/07/29

James Hayashi

17
両者の主要な作品は読んできたが、把握仕切れていない、読みこなしていない感じだった。読んでいる途中で迷路に迷い込んでしまった感じが幾つかの作品で感じていた。「ねじまき鳥ー」のノモンハン事件や享と井戸の関係や「国境の南、太陽の西」の女性の存在などメタファーなモノ、龍さんの飛び抜けた発想の「限りなくー」や「コインロッカーベイビー」など人を寄せ付けない感じを伴った。まだまだ理解できぬ作家先生であるが、この講義のような本を読み二人にさらに親近感を持つようになった。2015/06/17

きさき

12
★★★☆☆:サクサク系。W村上ブームとその歴史背景の勉強になる。後半、こじつけに感じる部分もあるけど、新しい解釈の発見もあったし、面白かった。2017/10/25

KASAO

11
W村上と呼ばれた龍と春樹を時代背景と作品の変遷を交えながら論じた本。戦後に起こったアメリカ文化の流入、経済効果による華やかさと虚無、九十年代後半から注目されるようになった14才という年齢など、それぞれの章でテーマに関連すると思われる作品を比較しているのが見どころ。二人の作家の作品をいくつも論じているので、あまり深くは掘り下げられていませんが、それぞれの作家の作風を知るのにはもってこいではと思います。春樹好きの自分も、龍作品を読みたくなりました。2012/11/08

TAKAMI

4
。村上龍が好きな人は村上春樹が嫌いで、その逆もしかりといったことがよく言われる(らしい)。そう言う人のことも理解できる。しかし2人には似たところがあって、そこが僕にとって彼らがスペシャルである所以だと思う。 この本は彼らの作品を通して、彼らが生きた時代がどういうものだったを検証したものだ。 2人の作品を読むことは、2人の生きる姿を見ることであって、すなわちそれは2人の生きた社会を見ることで、そこから僕は自分の生きる社会を見つめ、自分を見つめる。 結局のところ読書とはそういうものだと思う。2011/01/05

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