内容説明
かつて“W村上”などという呼び方をされた時期もあったが、龍のファンは春樹が苦手で、春樹のファンは龍が嫌いだったりすることが多い。しかし、二人の作品を時代ごとに対比させると、両者とも「アメリカ」「戦争」「セックス」「バブル経済」「崩壊の予兆」「十四歳」など、根っこの部分で驚くほどテーマがつながっていることがわかる。両MURAKAMIの物語によってあぶりだされた私たち自身の時代を振り返る、今までにない鮮烈な試み。
目次
第1章 反逆からの出発―一九七六‐一九八五(“アメリカ”の洗礼―『限りなく透明に近いブルー』VS.『風の歌を聴け』;日本という壁―『海の向こうで戦争が始まる』VS.『1973年のピンボール』;がまんの仕方―『コインロッカー・ベイビーズ』VS.『羊をめぐる冒険』;欲望の行く先―『中国行きのスロウ・ボート』VS.『悲しき熱帯』)
第2章 関係のありかた―一九八六‐一九九五(僕とオレ―『村上朝日堂』VS.『すべての男は消耗品である』;泡の正体―『愛と幻想のファシズム』VS.『ダンス・ダンス・ダンス』;セックスの底―『ノルウェイの森』VS.『トパーズ』;転がる石のように―『イビサ』VS.『国境の南、太陽の西』)
第3章 大人になるということ―一九九六‐二〇〇五(崩壊の予兆―『ねじまき鳥クロニクル』VS.『五分後の世界』;この国で何が起こっているのか―『アンダーグラウンド』VS.『JMM』;十四歳の境界―『希望の国のエクソダス』VS.『海辺のカフカ』;新しいゴールをめざして―『アフターダーク』VS.『半島を出よ』)
著者等紹介
清水良典[シミズヨシノリ]
1954年奈良県生まれ。文芸評論家。高等学校国語教諭を経て、愛知淑徳大学教授。86年「記述の国家 谷崎潤一郎原論」で群像新人文学賞(評論部門)受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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