内容説明
新左翼とは、1960年代、旧来の共産党や社会民主主義政党を「既成左翼」と呼んで批判し、矛盾に満ちた国家体制を打倒するための革命運動をいう。それは、70年あたりにピークを迎えるが、やがて「よど号ハイジャック」「浅間山荘」など社会的事件をおこし、「内ゲバ」で百人をこえる死者を出すにいたって完全に挫折する。彼らは一体何を考え、何をしたのか。理論家であり、常に第一線にいた著者が、その内実を初めて解き明かす。
目次
第1章 これが新左翼のルーツだ
第2章 五五年体制下での砂川闘争と労働運動・学生運動
第3章 新左翼運動が全面開花する六〇年代高揚期
第4章 新左翼と自治会・労働組合運動
第5章 新左翼のグローバリズム―組織された暴力とプロレタリア国際主義
第6章 なぜ内ゲバになったのか
著者等紹介
荒岱介[アラタイスケ]
1945年生まれ。65年早稲田大学第一法学部入学。ベトナム反戦闘争を契機に学生運動に参加。第二次ブント社会主義学生同盟委員長。三里塚闘争や東大安田講堂占拠闘争で実刑判決を受け三年有余下獄する。60年代後半より新左翼のイデオローグとして活躍。哲学者・廣松渉との交流をつうじて現代思想を研究、人権を守り地球環境破壊に抗すラディカリズムを提唱している(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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軍縮地球市民shinshin
6
新左翼のイデオローグが一般向けに新左翼活動を「総括」したもの。運動から足を洗ったとのことを言っているが、文章の端々に新左翼活動の「正当」さを主張しているのが窺える。新左翼が行った数々の暴力事件も-例えば交番襲撃事件など-肯定しているのが分かり警官が爆弾で死傷しようが構わないという著者の見解が文章の行間から感じられる(一般市民が巻き添えを食うからこの手法は間違いだったと言っている)。しかも著者にとっては「相当」わかりやすく書いているようなのだが、僕のような「ノンポリな大衆」にはよくわからない箇所が多すぎる。2015/09/28
inokori
5
元ブントの指導者の一人による左翼運動史,とりわけ表題の新左翼運動の歴史を比較的平明な文章で綴っているが,時折説明なく出てくる運動内の符牒に「どういう意味?」と首を傾げることしばしば.また,自身の運動歴を回想しつつ当時の著者の行動をヒロイックに表現しているところがまま見受けられ,組織化されたゲバルトに抵抗感のある世代の人間としては鼻白むこともいくつかあった.人はフェティシズムに囚われ崇拝の対象を変えていくだけ,とする著者の心境もやや空虚なことばに聞こえた.コンパクトな概説書としては良品.2010/10/28
かんがく
2
新左翼がゴチャゴチャしすぎてわからなかったので読んでみた。著者自身が活動家であったのでやや偏りもあるかもしれないが、だからこそ当時の実情がよくわかる。数十年前に、同じ大学生がこんなことをしていたとは・・・2016/12/07
失速男
1
昔々、大学に行けるお金持ちのお坊ちゃまや、労働者の給料から強制的に奪った組合費で生きている大企業や公務員といった労働貴族が、お山の大将になりたかったり、周りの空気に流されたり、単に暴れたかったので、革命ごっこをしました。でも私の両親の兄弟のような、本当のビンボー家族で中卒の人間には、彼らが何のために、誰のために行動してるのか分からないし、迷惑だったようです。そして日本政府は彼らの主張を無視し、資本家は技術革新を、ビンボー労働者は汗水たらして働いてきた結果、今の日本は経済的にも恵まれて平和になりました。2016/10/18
keepfine
1
60~70年代安保の時代、何百人単位で学生が逮捕されまくっていたり、大学で火炎瓶が飛び交うのが日常的な光景だったり、頭おかしいとしか言いようが無い。「中二病」や「こじらせ」という表現がピタリと来る。2016/06/18
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