内容説明
文武に秀で、多くの人望を集める大津皇子の即位を阻止せんと、天武の妃である譛良は、藤原不比等と結託。息子の草壁皇子に継がせるために暗躍する。しかし、大津皇子は譛良のことなど気にもせず、ただ文武に励み、仲間と酒を飲み自由闊達に過ごす。彼が求めているもの。それは皇位ではなく幼き頃を共に過ごした想い人の愛だけだった。動乱の古代飛鳥に展開する歴史と凄絶な人間ドラマが今ここに鮮やかに蘇る。
著者等紹介
町田俊子[マチダトシコ]
1945年東京生まれ。東京教育大学文学部文学科英語英文学専攻卒。以後都立高校勤務。2011年都立西高校を最後に退職(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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しゅてふぁん
41
そこかしこに出てくる万葉歌人に心を躍らせながら読了。文武に優れ、見目麗しく体格にも恵まれた大津皇子。ならば何故、陰謀をうまく躱せなかったのか!皇子としては真っ直ぐすぎるのもね…。実在の人物たちの物語を読み、実際はどうだったのかなと思いを巡らせながら彼らが詠んだ歌を読むと(自分なりの勝手な)想像も相まって、それまではただの文字だった歌が急に立体的に見えてくる。大津皇子と大伯皇女の姉弟愛(…?)はもちろん、高市皇子と十市皇女の悲恋にも涙。万葉集や家系図と照らし合わせながら読むのは楽しかった♪2018/08/08
真理そら
24
大津皇子ファンにはうれしく読める作品。当然、敵対する讃良(持統天皇)は悪役っぽく描かれているので、ある意味とても魅力的。天武天皇はやや情けなく描かれている。最後の山辺皇女の場面もドラマチックで美しい。ただ、狩衣を着ていたり等、ん?と思う部分も多かった。山辺皇女で思い出したので『裸足の皇女(永井路子)』を読み直してみよう。2019/03/24
布遊
24
奈良に旅行予定があったので、図書館で目につき借りてみた。日本史は教科書で学んだ、天智天皇・天武天皇・持統天皇・壬申の乱程度の知識。巻頭に略系図が載っているが、これがないと複雑過ぎて、関係が分からなくなる。この時代は、異母(父)兄弟・従妹同士で結婚している。大津皇子側から見ているから、持統天皇は、からそんな人だったんだ~藤原鎌足・不比等も~権力争いは怖い。当時の記録が、日本書紀や懐風藻に書かれているが、これも書きて側の都合の良いように書かれているとか・・それは、何時の時代も同じ。大津皇子、不運な王子。2018/11/05
こぽぞう☆
20
図書館本。まず植物。山茶花が首から落ちたり、萩と紅葉が同時に見ごろを迎えたり。そして時代考証。衣装がなんとみんな平安時代のもの、剣の試合は江戸時代。寺院とかろうじて宮殿の一部が瓦屋根であったにすぎないはずの時代に農家の屋根に瓦。違和感ありまくりで読みづらかった。主人公大津皇子は完全無欠だし、敵役たちは画一的だしで、小説としてもイマイチだった。2017/07/14
あずき
15
高市、大津皇子の兄弟が好きで、図書館で予約をしたのが去年。随分待ってやっと回ってきました。しかし、期待に反して以前読んだ「白鳳の嵐」程の感動はありませんでした。でも、大津皇子の好感の持てる人柄はうまく描かれていると思います。死刑という理不尽な皇子の最後は、どう考えても残念ですが、もっとドロドロしたものがあると思っていたので あっさり終わってしまったという感じです。2016/09/03
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