内容説明
神秘学に傾倒する伝説的実業家の住む洋館には、独自の英才教育を受けて育った4人の子どもが暮らしていた。当主の龍斎とその血族、奉公人たちの集う館に招待された聖は、徐々にその異様な雰囲気に飲み込まれていき…。読むほどに謎が深まる、再読必至の館ミステリ「魔術師」。ほか「模像殺人事件」を収録。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
雪紫
58
「模像殺人事件」既読。なので「魔術師」中心で。両者とも現代なはずなのに、古典オマージュ差し引いても漂う古き良き探偵小説の気配。並べると凄い圧・・・!あらすじから「黒死館殺人事件」を思い出させながらもまったく、違う気配で読みやすい。だが、最後に、ある種の背負い投げに驚いて再確認。結末になると、何か嫌な予感が漂いますね・・・これぞ、現代?2022/03/23
geshi
21
よくできたアマチュア作品という印象で、作者の好みやこだわりを感じる。過去の探偵小説へのオマージュが強く、書かれた年代以上に懐かしい読み心地。『魔術師』小栗虫太郎オマージュの雰囲気作りにしても事件が起こるまで4割使っては重厚というより鈍重。オカルトに支配された館だからこその真相は、やりたいことは分かるが…。『模像殺人事件』横溝を思わせる2人の包帯男の対立と一家の秘密の引きは良かった。2章でテキスト解釈になって話が停滞してしまったのが難。模像をテーマにした仕掛けは納得だが、もっとスッキリ驚かせて欲しかった。2025/06/10
コチ吉
12
いずれの作品も比較的最近に書かれたものだが、乱歩や正史の作品と見紛う程の、あの当時の時代背景を濃厚に感じさせる。「魔術師」は正に犯罪の荒唐無稽さがそのまま乱歩へのオマージュとなっている。そして「模像殺人事件」、世に数多ある仮面ものの中で屈指の傑作。読み終えてタイトルの重層的意味に唸るしかない。2021/12/04
うみ
10
模像殺人事件が好き。なんてったって、え? え? えー?? の連続だもの。いや~~、そうくるかあ😲 時々こんがらがったけれど(笑)、面白かった。2021/10/07
ジャム
7
古き良き探偵小説の香りが漂う傑作長編2作。「魔術師」は、「神綺楼」と呼ばれる館で独自の教育を受け人知れず育てられていた4人の少年少女が十七歳になった時悲劇が訪れるというオカルティズムと本格ミステリが渾然一体となった館ミステリ。独特の雰囲気と精緻に仕掛けられた本格ミステリ味。そして、火美子の存在感に圧倒されました!一方「模像殺人事件」はこれまた禍々しい館に二人の包帯男がどちらも行方知れずとなっていたその家の長男であると名乗り出るどっちが本物ミステリーショーでこの作品も独特の雰囲気と仕掛けに驚倒しました!2024/06/14
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