内容説明
「私ら親子はここしか行くとこがあらへん」わけありのシニア3人が静かに暮らすシェアハウスに、ある日幼子を連れた若い母親が転がり込んできた。にわかに騒がしくなる日々のなかで、それぞれが心に抱える過去と少しずつ向き合っていく―。わけありシニアとわけあり母子、心温まるシェアハウス物語。
著者等紹介
今中浩恵[イマナカヒロエ]
1955年、大阪で生まれる。大阪府立花園高校卒業。現在、奈良県からの派遣社員としてスーパー勤務。仕事は早朝品出し(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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むぎじる
47
7年前に転がり込んできた幼馴染の和枝と、4年前に現れた父の元教え子だった希美と、葵の住む家はシニア専用のシェアハウスとしての体裁を取っている。共に暮らすはずだったハルさんと連絡が取れない中、替わりに住まわせてほしいとやってきた孫だと名乗るレナと遙太。2人を迎えることで、家の中の空気が動き出す。「誰だって、陽の下にさらせない秘密はある。乾いた風にあてられない傷もある」という文中の言葉が印象的。自分の傷をいやすためにも居場所は必要だ。実質的な場所だけでなく、人間関係の中における繋がりも。しみじみとした読後感。2021/07/21
Roko
29
最近は家族からの虐待というのが大きな問題になっていますが、暴力は振るわれなくても家族から愛されなかったという思いは、その人に一生ついて回ります。家族の役目って大事なのに、それをわかってくれない人がいるのは、やるせないなぁと思います。シェアハウスというと若い人のものと思われがちですけど、この物語のような高齢者だけのシェアハウスや、若い人と高齢者が混ざったシェアハウスというのもあったらいいなと思います。一人暮らしで一番大事なのが心の問題ですから、少しでも他人と関わる機会を増やすって大事だと思うのです。2021/12/15
ねなにょ
19
それぞれ欠けた月のように心に深い傷を隠し持つ60代の葵、和枝、希美の3人が仲良く暮らすシェアハウスに、幼児を連れた若い母親レナが転がり込んできた。月が満ちていくように少しずつ過去に向き合い変化していく4人の様が温かい目線で描かれている。短い小説なので、ちょっとさらりとし過ぎている気もするけれど、掘り下げすぎると重くなりすぎるから、このくらいがちょうどいいのかも。2024/02/15
かよぴー
19
訳ありシニア3人のシェアハウスに、「行くとこがない」と駆け込んできた若い親子。 皆それぞれに思い通りにならなかった過去を抱えている。 それが欠けた部分と言うなら、欠けてない人はいないだろう。 それでも顔を上げて生きていれば、きっと満ちて輝く時が来ると言う話。 親子ほど面倒なものは無い、と言う話を最近よく読む。 親子だから許せない事、 親子だから忘れられない事、 そして他人だから話せる。 他人だから許せる事が有る。なんとも厄介なものだ。 サクサクと読めました。2021/06/04
mm
9
三人の初老の女性の住むシェアハウスに幼児を連れた訳ありの若い母。それぞれの過去の告白と若い夫婦の再生がサクサクと進む。面白くなりそうな物語があまり盛り上がりもなく着地してしまい少しがっかり。 この物語はきっとこれからなのだなと読んだ。2021/09/28
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