内容説明
なぜ「悪問」は生まれるのか。「リスク」を知って大学入試改革を乗り越える。問題作成時に押さえておきたい重要ポイント集。入試問題作成マニュアル―知識をベースに考えさせ、判断させる出題形式を紹介。大学入学共通テスト試行調査の検討―入試問題のあるべき姿を具体化するため、「プレテスト世界史B・日本史B」を徹底分析。問題点を提示する38のケース・スタディ付き。
目次
第1部 入試問題作成マニュアル(入試問題作成の基本方針の設定;テーマの設定と出題内容の決定方法;入試問題の種類―機械採点問題と記述・論述問題;機械採点問題の作成;論述問題の作成と採点基準の設定;作成した問題の妥当性のチェック;採点作業)
第2部 大学入学共通テスト試行調査(プレテスト世界史B・日本史B)の検討(プレテストの検討の意義;プレテスト(世界史B・日本史B)の問題点)
著者等紹介
延近充[ノブチカミツル]
元慶應義塾大学経済学部教授。専門分野:国際政治経済学、現代資本主義分析。1953年京都市生まれ、71年京都教育大学附属高等学校卒業、79年慶應義塾大学経済学部卒業、81年同大学大学院経済学研究科修士課程修了、84年同博士課程単位取得退学。1981年慶應義塾大学経済学部助手、91年同助教授、2012年同教授、18年定年退職(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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かんがく
10
慶應大学経済学部の入試問題は凄くて共通テストの問題は糞!という主張が繰り返されるが、実際に慶応経済の入試問題の質は高く、共通テストの問題には首をひねることが多いので納得できる。日頃、私が作問する際になんとなく気を付けていた部分を、問題タイプごとに整理して言語化してくれているため大変参考になる。入試問題を受験生のメッセージであると捉え、共通テストの不適切なアクティブラーニング型問題設定が、「アクティブラーニングとはこういったものである」という誤ったメッセージを発信することになるという著者の危惧には共感。2021/06/02
読書実践家
4
プレテストを徹底的に批判した一冊。2021/05/21
むむむ
2
歴史の出題のあり方に関してであり、専門家からすると垂涎の一冊であろう。テストの効果を発揮させるためには、綿密な出題形式への配慮が不可欠である。 選択肢を作るポイントは以下の通り。 ◦誤った情報を入れる ◦時系列、因果関係をひっくり返す ◦同テーマでありながらも、無関係の情報を入れる 2021/11/28
かりん
2
4:《匠による作問方法の解説&プレテストを斬る!?》良問と名高い慶應経済学部の歴史の入試問題。その作成に関わってきた著者が、作問ポイントや、素案から採点までのチェックポイントなどを述べていて参考になる。そして、その匠の目線で共通テストのプレテストを分析。さすが自費出版の出版社から出そうと思うだけあって、熱量がものすごい。私から見ると重箱の隅のように思えるものもあるけれど、共通テストのように皆受ける入試はこのくらい厳しくていいのかも。歴史に疎いので、そういった解説内容は流し読みになってしまった。E2021/04/21