内容説明
なぜ動詞に国字が必要だったのか。日本人が日本人のために作った漢字「国字」。中国からもたらされた漢字だけでは正確に表せなかった日本人特有の感性をひも解く。「辷」と「込」に焦点をあて、その登場を徹底的に調べ上げた「国字」研究の決定版。
目次
第1部 国字と「しんにょう」(国字;「しんにょう」)
第2部 「辷」(すべる;滑;辷;江戸時代の「すべる」 ほか)
第3部 「込」(「込」の意味について;文献に見る「込」;複合動詞を作る「込」;「こむ」雑記二題)
第4部 まとめ
著者等紹介
西井辰夫[ニシイタツオ]
1931年東京生まれ。東京大学法学部卒業(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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kenitirokikuti
5
ブックオフにて軽くながめた。「峠」や「丼」のような名詞の国字が生まれた理由というのは比較的理解しやすい。対応するものがあったりなかったりするからである。しかし、「すべ(辷)る」や「込(こ)める」といった一般的な動詞についてはどうだろうか? ▲「辷」。先行して「滑」に、なめらか、すべる、という読みを持つ。そして、平安時代に国字「辷【まろぶ)」が生まれ、江戸時代に「転(まろぶ)」に圧迫され、「辷(すべる)」となり、さらに「滑(すべる)」に追い出されて消えつつある▲「込」って国字だったのか…。2019/04/13