内容説明
都内のマンションの一室で有名デザイナーの国枝和子が無残な姿で発見された。防犯カメラの映像から浮かび上がった容疑者は3人。それぞれの身辺をくまなく調べ、捜査チームはついに犯人を特定するが、その人物の精神鑑定をめぐり、事件は思わぬ展開を見せる。定年間近のベテラン刑事・田所は、被害者の過去の人間関係から徐々に事件の核心に近づいていくが…。
著者等紹介
和亭正彦[ワテイマサヒコ]
1949年島根県生まれ。脳神経外科医(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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hiace9000
110
都内高級マンションで発見された有名デザイナー・国枝和子の猟奇的惨殺死体。地味で丹念な捜査で絞り込まれた3人の容疑者からついに犯人を特定。だがその人物の精神鑑定は事件に思わぬ真実があることを示唆する。登場する人物ピースをパズルのように丁寧に並べ、人と事件の背景を飛躍と抑揚を抑えた推理で詳らかにしつつ、淡々とした筆致でグイグイ読ませる展開手腕は実に見事。作中の人物造形の確かさは、定年間近のベテラン刑事・田所の若かりし頃のスピンオフ作さえ期待できそうなほど。絶妙の落としどころでタイトルへと誘う秀逸ミステリー。2025/05/26
ハルめめ
16
東京の高級マンションで起こった凄惨な殺人事件。前半は殺人事件の捜査がメインで、犯人は比較的容易でわかりやすい。しかし逮捕された犯人には精神疾患で通院中の履歴があった。後半は、まだまだ解明しきれない脳医学の部分と犯罪への立証が争点になっていく。未必の故意とか法において完璧に立証されなければならない事において「不確かな真実」というものが余韻を残す。サクサク読めて面白かった。2025/07/14
ガブリエル
4
面白かった〜。作者は現役の脳神経外科医ということで、論理性と医学的な知見に基づく描写がクール。精神医学の曖昧さや、それを事件捜査で客観的に立証していくことの難しさを示したエンディングは、ミステリとしては有体な終わり方ではないが、それも無理矢理解決に持ち込まない誠実さも感じられて好感が持てる。ミステリとしては、主人公が宇佐見かと思っていたら最後には田所だったのねという感じで、モブキャラの刑事の登場が多すぎてストーリーを邪魔する。キャラ設定を活かせないなら、もっと登場人物を絞っても良かったのでは?と感じた。2025/07/13
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