出版社内容情報
追いつめられた紀尾中とその部下たちは反転攻勢のため死力を尽くす。ようやくガイドラインの行方が見えた頃、かねてより紀尾中が大学と共同で進めていたがんワクチン研究を邪魔する新たな敵が今度は社内に現れる。絶体絶命の窮地での疑惑、裏切り、暗躍、疑心暗鬼。紀尾中に勝機はあるのか。注目集める医薬業界の光と影を描くビジネス小説の傑作!
内容説明
追いつめられた紀尾中とその部下たちは反転攻勢のため死力を尽くす。ようやくガイドラインの行方が見えた頃、かねてより紀尾中が大学と共同で進めていたがんワクチン研究を邪魔する新たな敵が今度は社内に現れる。絶体絶命の窮地での疑惑、裏切り、暗躍、疑心暗鬼。紀尾中に勝機はあるのか。注目集める医薬業界の光と影を描くビジネス小説の傑作!
著者等紹介
久坂部羊[クサカベヨウ]
大阪府生まれ。大阪大学医学部卒業。作家・医師。2003年、小説『廃用身』(小社)でデビュー。他の著書にベストセラーとなった小説『破裂』『無痛』(ともに幻冬舎文庫)、『悪医』(第三回日本医療小説大賞受賞、朝日文庫)などがある(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
W-G
265
主人公紀尾中に、社外と社内それぞれから困難が降りかかり、上巻よりも長編小説っぽくなってくる。問題は、苦難を乗り越えるきっかけが突拍子もないところからだったり、かと思えば大問題に発展すると見せかけて、やけにアッサリ片がついて拍子抜けだったり、イマイチ盛り上がり切らないところ。ただ、こういう軽さも含めて、世界観として纏まってはいるので、深く考えずに楽しめばいいのかも。ラストの社長室での一幕も、ほどよいエスプリといえる。かなりリーダビリティは高く、肩肘張らずに読めるので、そういうものを読みたい時にオススメ。2023/04/17
カブ
41
下巻になり、企業小説のように派閥争いが全面に。裏切りやスパイもどきのシーンもあって面白いけど、薬が売れるってことは製薬会社が儲かることで、患者は必要のない薬も処方されているのかも。それでも癌治療の新しい薬や認知症の予防薬など必要な薬も確かにある。2023/04/17
ロボット刑事K
23
主人公を目の敵にする鮫島や五十川は自分の会社の為に頑張ってるワケで彼らを悪者扱いするのは余りに短慮。ま、道義的な話はおいといて。それよか営利企業に勤めながら清濁併せ呑む覚悟のない主人公こそ大人としてどうかと思います。100人いれば100通りの正義があるわけで、世の中単純な勧善懲悪では片付かない、これがこの作品のメインテーマでしょう。大人が青臭い正論を振りかざしてもねえ。☆4つ。余り知られていませんが、数年前にWHOがコレステロールの摂取上限目安を撤廃しました。つまり脂肪は幾らとっても構わないのですよ実は。2025/03/15
Y.yamabuki
23
他の方も書かれているように、出し抜き、出し抜かれの半沢直樹の世界に。ライバル会社の鮫島との争いに決着が付くと、今度は社内に敵が…作中繰り返されるのは紀尾中がモットーする“患者ファースト”という言葉 。営利企業であるからには利益は必須。MRの矜持を持って、バランスを取らなければならないということなのだろうか。最後の社長の言葉が、そう来たかと印象深い。そして解説者の元製薬会社の研究者で作家の喜多喜久さんのMR不要論も興味深い2023/06/27
かずぺん
8
正義は勝つと言いたいところですが、目的を達成するには、ちょっとした妥協は必要ですよね。バランスが難しい所です。リアルで面白かったです。2023/07/12