内容説明
結婚のため単身フランスに渡ったのが二四歳の時。その時、四一歳で夫と別れ独り身になって以来、女優として作家として、母として無我夢中で走り続けてきた。晩年という齢になったが、好奇心と冒険心に駆られて行動してきたおかげで退屈な「老後」とは無縁。その凛とした佇まいと若々しさの源泉を、おどけとハッタリで描ききる会心のエッセイ集!
目次
初めての小説
落ちてきた青い封筒
わたしの物語
親しい仲にもスキャンダル
一人舞台と、ブタペストから来た友人
下品力
八十五歳の、見栄とはったり
マネージャーのメモ
カード詐欺、勝負処はドジと勘
顔に流れる川
装い
言葉
嗚呼、法律!
孤独という道づれ
エピローグ
著者等紹介
岸惠子[キシケイコ]
女優・作家。横浜市出身。『我が家は楽し』で映画デビュー。『君の名は』『雪国』『おとうと』『細雪』と名作に出演。いまも映画、テレビ界の第一線で活躍している。四十年あまりのパリ暮らしの後、現在はベースを日本に移しながらフランスと日本を往復する。海外での豊富な経験を生かし、作家、ジャーナリストと多方面でも活躍。2011年フランス共和国政府より芸術文化勲章コマンドールを受勲。『ベラルーシの林檎』(日本エッセイスト・クラブ賞受賞)(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
オカピー
9
海外に旅行に行くのさえ珍しかった時代に、フランスに行かれ結婚し、日本とフランスを行ったり来たりの生活。著書も映画も見たことはありませんが、生き様ということで興味を持ち、読みました。自分の信念を持ち、周りの事を気にしすぎず生きる。まだまだ意気軒高な方で、孤独を感じる暇もないほど、ご自分を生き抜ける方なのではないかと思いました。2023/06/20
あおい
4
びっくりするほど率直に今までの来し方を記したエッセイ 少し前の上梓だがそれ以前の85才との記述もあるので何年間かをまとめたものであるらしい…にしても言葉選びが丁寧で自然でいい感じw転んで肋骨折ったり前のめりに転んで顔を腫らしたり、な危ない怪我事情も読みつつヒェッと声が出てしまうw今90才とは思えない生命力wこの先も何があってもクィっと顎をあげ胸を張って歩くかくしゃくとした姿は想像に難くない。危うい”カード詐欺”未来の自分はこれほど撃退できるだろうか疑問、早めの終活で不要なカードは解約しておかねば,,,2023/06/22
ペミカン
2
ずっと気になっていた岸さんのエッセイを初めて読んだ。数十年も世界を駆け抜けた人生の鮮やかさは勿論垣間見えるが、私達と変わりない独りの高齢女性の生きる姿を潔く見せてくれる。しかしやはり違う!素敵!と思わせられる。 最後までうんうん、と共感できる気持ちよい一冊でした。2023/12/03
kobayo
1
フランス在住と思っていたら現在は日本暮らしとのこと。知的な女優という印象だったが芯の通った社会派であり言葉の使い手と感じた。小説も読んでみたくなった。2023/03/21
Orangina Fujikawa
1
いかに孤独を楽しみながら生きていけるか、そのよい指針となるエッセイ。岸惠子さんの教養深さが、言葉選びに滲み出ています。2022/06/07