内容説明
日本最大のメガバンクTEFG銀行で働く総務部の二瓶正平。弱小銀行出身の彼は、同僚から「絶滅危惧種」と揶揄され、肩身の狭い日々を送っていた。ある日、国債が暴落。頭取と金融庁とのある密約により、銀行は破綻の危機に。「うちが破綻するはずがない」と行員の誰もが慢心する中、二瓶は、伝説の相場師・桂光義と生き残りをかけて立ち上がる。
著者等紹介
波多野聖[ハタノショウ]
1959年、大阪府生まれ。一橋大学法学部卒業後、農林中央金庫、野村投資顧問、クレディ・スイス投資顧問、日興アセットマネジメントなど国内外の金融機関でファンド・マネージャーとして活躍する(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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納間田 圭
128
バブル崩壊。金融ビックバン。リーマンショック。エゲツない外資の流入。そんな時勢に…合併吸収を繰り返してメガバンクとなった大銀行が舞台。そこには…金融庁の強い指導もあった。繰り広げられるサバイバルゲーム。吸収した側の論理優先は…是非に及ばす。生き残り…絶滅危惧種となった吸収された側の行員達の逞しさ。横行する…どさくさ紛れのコンプライアンス違反。お客様第一の名の元の…やりたい放題。それはそれは…涙もの。名ばかりの対等合併からの、醜い縄張り争い。かつて…僕も経験した津波のような会社の合併。それはそれは大変でした2022/10/02
KAZOO
112
今あるメガバンクをほうふつさせるような物語で読んでいて楽しくなりました。4つの銀行が一緒になったメガバンクで弱小勢力であるディーラー一筋の専務と総務部の主人公が、財務省、金融庁、あるいはその銀行のトップなどを巻き込んでの話です。かなり話は大きくなって、海外のファンドや日本の投資家が出てきたりします。若干の色気もあったりして楽しませてくれる仕掛もありますが、アメリカの陰謀話のようなことが日本でもある、というようなこともでてきます。2024/03/11
アッシュ姉
62
日本最大のメガバンクが破綻の危機に陥る。弱小銀行出身でありながら、人柄の良さとそつのなさで評価されている総務部の二瓶正平と、伝説のディーラーにして専務の桂が生き残りをかけてタッグを組んで立ち向かう。池井戸さんや真山さんと比べてしまうと薄口に感じるところもあったが、国内外の金融機関でファンド・マネージャーとして活躍する著者だけあって、リアリティは充分で総じて面白かった。思ったより登録数が少なくて驚き。第二弾も手元にあるので続きを楽しみにしたい。2024/04/02
GAKU
35
メガバンクシリーズ第1作。金融業界を経て小説家となった、初読みの作家さん。池井戸さんの銀行小説と比べるとちょっと劣るかな。とはいえ元金融マンだけあって、業界内の事や、金融に関する場面はリアリティが感じられた。取り敢えず2作目も購入してあるのでそちらを読んでから、シリーズ全巻読むかどうか判断しようと思います。 2025/02/17
ま~くん
29
「この国がまだアメリカの占領国であることを事あるごとに思い出させる。それが○○党の真の役割のように思えます」。ガチョウのフォワグラの如く、日本を経済大国にして美味しい所を後から貪り食らう。日本の政治家が本書を読んだ時、全く馬鹿げた絵空事と笑うのか、それとも問題意識を持つのか。日本最大のメガバンクが巨大なヘッジファンドに買収され外国に売り飛ばされる。そんな起こるはずもない?事を物語の軸に銀行マンが奔走する。この国の行く末の最終責任は、今の政治家を選んだ自分達にある。優秀な官僚達を生かすも殺すも政治家次第だ。2023/04/02