内容説明
原発トラブル隠しの発覚、特捜部の事情聴取、新潟県中越沖地震による原発への打撃などを乗り越え、奥羽第一原発所長となった富士祥夫を3月11日、巨大津波が襲う。未曽有の事態を前に彼はどのように決断したのか。日本の命運を背負った男の生涯と原子力の功罪を、七〇名以上に上る関係者への取材をもとに炙り出す感動のノンフィクションノベル!
著者等紹介
黒木亮[クロキリョウ]
1957年、北海道生まれ。カイロ・アメリカン大学大学院(中東研究科)修士。都市銀行、証券会社、総合商社に23年あまり勤務し、国際協調融資やプロジェクト・ファイナンスを手がける。2000年、『トップ・レフト』で作家デビュー。早稲田大学時代には箱根駅伝に二回出場し、二〇キロで道路北海道記録を塗りかえた。1988年より英国在住(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
バイクやろうpart2
49
黒木亮さん作品一作目です。原発小説は、一年前『死の淵を見た男』を読ませて頂きましたが、それ以上に、文字で表現出来ない重さを感じさせられました。原発事故の代償は、この先、数十年続くとされる廃炉作業、それも全てが道標の無い、人類が経験したことの無い作業です。従事される技術者の方々のことを思うと複雑な気持ちになりますが、将来、この経験が、新たな技術革新に繋がる事を祈ってやみません。2020/04/17
kawa
39
東日本大地震発災時の奮闘で一躍ヒ-ロ-となった福島第1原発吉田所長を念頭に描くフィクション。著者は彼が本当に救国の英雄だったのか?との問題意識のもとで、彼らの奮闘がなかったら東日本は壊滅していたが、地震対策の不備に対する一定の責任は免れない等々、我が国の原子力政策の功罪を総括する。登場人物が「電力業は政治家とヤクザと建設会社のマネ-マシンで、官僚の天下り先だ」と語る。真相は果たしていかがか…?2021/05/18
あっ!chan
32
まさにあの瞬間からの描写は、多くの取材に基づくリアルなだけに緊張感も迫力もある。政府、東電本社、当時の検証が10年たった今でも続いていて功罪云々も言われているが、結果を見てああだこうだいうのは容易い。その中で「吉田所長でなくても、同じ立場であれば同じ事をやったはずだ」というのはちょっと悲しい。悪戯に英雄視せず、最善を尽くした吉田所長を含めた現場にいた全ての人たちに感謝である。政府や東電幹部、規制委員会等の連中には怒りすら覚えるが💢…2021/03/24
さきん
22
いよいよ事故の日を主人公が所長として迎える。すぐに海水を入れる処置など、最善を尽くしていたと思えた。そこを冷静に熱くなりすぎずに描いているのもまた良いと思った。一方で、単なる利権の塊みたいな描写をしていたが、純粋に原子力発電に未来を見出して働いている人々も多かったと思う。火力発電でも大きな事故が起きれば、発電手段自体見直されるだろう。天変地異の少ないアメリカやヨーロッパではまだまだ稼働すると思う。廃棄物はシベリアの地下に保管するなどして。2021/09/27
サイド
13
震災後の現場の緊迫した空気がひしひしと伝わってきた。本当に日々命懸けで闘ってくれたおかげで今があるんだな。技術を扱う以上リスクは付き物だが、コストや政治、利権が絡んで完璧な対策は打てない。万が一があった時の皺寄せは現場にいってしまうんだよな…。現場がわかっていない上層部ってなんで生まれてしまうんだろう。2020/11/22




