内容説明
金も仕事も住処も失った元エリート・溝端了衛は20年ぶりに故郷に帰る。だがそこは、携帯の電波は圏外、住民は曲者ぞろいの限界集落。地域に溶け込む為、了衛は手を尽くすが、村八分にされ、さらには愛犬が不審死する。追い詰められ考えた乾坤一擲の策は予想外の結末をもたらし―。降り注ぐのは恩寵か厄災か。著者史上最狂ミステリ。
著者等紹介
中山七里[ナカヤマシチリ]
1961年岐阜県生まれ。『さよならドビュッシー』で第8回『このミステリーがすごい!』大賞を受賞し、2010年にデビュー(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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三代目 びあだいまおう
333
文庫裏の『降り注ぐのは恩寵か厄災か。著者史上最狂ミステリ』に俄然興味津々!しかも中山作品···ですし。仕事も住居も失いI ターンで故郷に戻ってきた主人公。そこはまさに限界集落で住人は7世帯9人の高齢者だけ。地域に溶け込もうと、地域を活性化させようと、元エリート主人公は様々な試みをするのだが悉く裏目に。住人に疎まれ、恨まれ、やがて村八分状態に。陰湿で度を越した嫌がらせに終始胸糞が悪くなる。名曲『美しく青きドナウ』が後半の凄惨な事件のグロテスクさに拍車をかける!真犯人の予測はつくが何とも後味悪い読後感‼️🙇2020/06/16
SJW
138
リーマン・ショックで、外資系金融会社をリストラされた溝端は再就職もできず、両親は他界していて実家のある限界集落に戻ってきた。地域に溶け込むため手を尽くすが、悪い結果ばかりとなり村八分にされてしまう。外資系に勤めていたとは言えFP3級の資格しか持っておらず、単純で浅薄なことがたたり、予想外の結末となる。早くから先が見えてしまい、いつもの中山さんのどんでん返しがほとんどなく、いつもの作品とは違っていた。山口県周南市の事件を元にして書かれたいるので、どんでん返しを入れるのは難しいかな。2020/11/28
ふじさん
124
リストラで仕事をを失った元エリートの溝端了衛は、20年ぶりに故郷に帰る。住民は曲者揃いの限界集落で、地域に溶け込むために、色々な試みをするが上手く行かない。最後に村人の協力を得て始めた、地元野菜のネット販売の失敗をきっかけに、村八分になり、様々な嫌がらせが受けることなる。追い詰められた了衛は、村人への復讐を思いつき、実行に移す。最後は、目を覆わんばかりの惨殺シーンの連続だが、それだけ彼の怒りが大きかったということか。事件後、生き残った能見の策謀が明らかになり、話は終わる。最後の終わり方は、さすが中山七里。2021/09/12
のり
120
「ワルツを踊ろう」というタイトルからの爽やかさは全くなく、救いのない凄惨極まる世界だった。リストラにより限界集落の故郷に戻るが、住民は曲者だらけで閉塞感が漂う。幼少期を過ごしたはずの村だが、一度離れてしまったら殆ど他所も扱い。しきたりも大事だがこの村では誰でも疎外感を味わうだろう。限界集落脱却の為に奔走するが全て裏目で最悪な結末に…2020/11/26
小説を最初に書いた人にありがとう
95
最初から最後まで気分悪く、おどろおどろしい話。外資系企業のエリートだったが不景気の煽りを食いリストラされ、過疎が進む限界集落の実家のある村にUターンした主人公の話。村の中に溶け込もうと奮闘するが裏目に出て逆に村八分と酷い目に合わされ、どんどん追い詰められる。終盤は映像化不可能なレベルの。。。主人公の名は溝端了衛、この名前も横溝正史をイメージさせ、そうすると八墓村を彷彿。。とにかく怖い。。田舎への移住を考えている気持ちが少し萎む。2020/11/30