内容説明
マーチダ邸には、不具合があった。人と寝食を共にしたいが居場所がない大型犬の痛苦。人を怖がる猫たちの住む茶室・物置の傷みによる倒壊の懸念。細長いダイニングキッチンで食事する人間の苦しみと悲しみ。これらの解消のための自宅改造が悲劇の始まりだった―。リフォームをめぐる実態・実情を呆れるほど克明に描く文学的ビフォア・アフター。
著者等紹介
町田康[マチダコウ]
1962年大阪府生まれ。81年、パンクバンド「INU」で活躍。96年、初の小説「くっすん大黒」を発表、同作は翌97年Bunkamuraドゥマゴ文学賞・野間文芸新人賞を受賞。以降、2000年「きれぎれ」で芥川賞、01年詩集『土間の四十八滝』で萩原朔太郎賞、02年「権現の踊り子」で川端康成文学賞、05年『告白』で谷崎潤一郎賞、08年『宿屋めぐり』で野間文芸賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ふう
105
築30年の古い家に住んでいる身としては、語りだすと長くなりそう。作品についてではなくリフォームについて。小さなことをスパッと片付けず、いつもグダグダしている町田節炸裂ですが、日当たりのこと、猫部屋のこと、お金と手間のことなど、そうだよなあとかなり共感しながら読みました。工事に来てくれる職人さんたちのと関係も、本当に距離感が難しい…。ただ職人さんたちプロの仕事ぶりを見るのは大好きです。人もペットも快適に暮らせる町田家。その快適さを描いた作品も読んでみたいですね。2019/12/17
HANA
72
町田邸を襲う数々の不具合。それに対応すべくリフォームを始めるのだが…。斎藤美奈子が「うだうだ系」と評した著者らしく、今回も自意識の暴走が楽しめる。細かい事にぐちぐちと拘る事によって神は細部に宿るというか、ただのリフォーム記録が一気に面白く。最初の邸内の様子が少々頭に入って来辛いが、工事が始まると一気に面白くなる。警備会社との対応や職人との距離の取り方とか、もう笑い無しには読めない。うちも数年前リフォームしたので、距離の取り方とか実感できるし。日常が言語によって異界化される著者の本領が発揮された一冊でした。2019/11/01
こばまり
53
自宅のリフォームついでに一冊物してしまった感が否めないが、変わらぬマーチダ節にぐへぐへと笑いながら読了。車中など公共の場で読むのは危険である。2021/11/11
kazi
35
私は一体何を読んだのか・・(^^; 読み進めるほどに虚無的な気持ちになりました。これが作品として成立するならもはや何でもありなのでは?リフォームについて延々記述する文章を読みながら文学とは?エッセイとは?みたいな、思索的な気持ちになっていって、行きついた先は虚無。岸本佐知子さんとかも、エッセイというジャンルの既成概念を破壊するような作品書いてるけど、マーチダの方が一歩先を行ってると確信。先鋭的過ぎて誰もついてこれてないのでは?著者の作品の中でも特に既読者数少なくて笑ける( ´∀` )実にパンク。2021/06/04
chanvesa
22
作中の登場人物、岡崎真一氏に関する物語が面白い。社会から冷遇され、性格が悪くなった岡崎さんにとって、建て付けが悪い雨戸はむかついて仕方がなかったのであろう。エッセイのような小説。いかめしい表現がかえって面白い。2023/06/09
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