内容説明
ライターの原田璃々子は、二十三区のルポを書くため、いわくつきの場所を巡っていた。自殺の名所と呼ばれる団地、怨念渦巻く縁切り神社、心霊写真が撮れた埋立地、事故が多発する刑場跡…。後ろ暗い東京の噂を取材する璃々子だったが、本当の目的は、同行する民俗学講師・島野の秘密を探ることだった。心霊より人の心が怖い、裏東京散歩ミステリ。
著者等紹介
長江俊和[ナガエトシカズ]
1966年大阪府生まれ。映像作家、小説家。深夜番組「放送禁止」シリーズで数多くの熱狂的ファンを生み出した。2014年には小説『出版禁止』を刊行し話題になる(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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まさきち
107
東京23区の各所において、そこに巣くうオカルト的な要素に巻き込まれていく人々の様と、曰くありげな目的のためにその地を訪れて謎の行動を見せるフリーライターの璃々子と元民俗学講師の島野の様とがパラレルで語られる連作短編集。その目的とは何なのかとぐいぐい引き込まれ、頁を捲る速度は上がっていき、最終章でその目的が明かされる。がしかし、今回の5区では達成されず、残りの18区も早く読みたいとウズウズしながらの読了です。2020/05/30
★Masako★
89
★★★+ ライターの原田璃々子は、ルポを書くために東京二十三区のパワースポットやいわく付きの場所を巡っていた。同行するのは元民俗学講師の島野仁。霊感のある璃々子と霊的なものを否定する島野。ただ、島野の蘊蓄が凄い!その土地その土地の由来や出来事、特に渋谷区(渋谷駅周辺)は馴染みのある所なので、地図を見ながらふむふむと♪ 過去の怨念や哀しみ等因縁話も絡みホラー風味で構成的に面白いと思った。今回は二十三区の内の五区の話。読みながら感じた違和感、そして璃々子の本当の目的とは…続編も出ているので読んでみたい♪2019/09/26
ちーたん
82
★★★☆☆東京23区シリーズ第1弾!フリーライター・原田璃々子と元民族学講師の先輩・島野仁が23区のいわくつきな地を巡っていく連作ホラー短編集。第1弾では板橋区、渋谷区、港区、江東区、品川区の5区が収録。各話その区の歴史や実際に起きた事件などが語られ勉強になる部分も多い!でも少しホラーに集中できない側面も💦長江さんの代名詞、読み返し必須の仕掛けはこのシリーズでは影を潜めてるものの、板橋区はわからずでネタバレサイトへGO(笑)1番ホラー感を楽しめたのは港区!連作の謎もあるので続編も読んでみようと思う!2019/09/03
HANA
75
東京を舞台にしたホラー小説にしてダークツーリズムのガイド。本書を読むと、常に変化を続け次のオリンピックでも大きな変化を迎えそうな東京であるが、地表の下には膨大な歴史が埋まっている事を知らしめてくれる。遠く江戸だけではなく近代現代も積み重なっており、そのミックス具合が何とも面白い。ただガイドと小説の両立は難しかったのか台詞がやたら案内っぽい。主人公も各話に直接絡む事なく、能のワキや鎮魂の巫女のように事件の周辺を巡礼するだけ。ただこういう地霊を感じさせる本大好きなので、残りの区制覇目指して頑張ってもらいたい。2018/10/23
yukaring
73
"裏"東京を堪能できる散策系ホラーミステリ。ライターの原田璃々子が東京23区のルポを書くため、いわくつきの場所を巡る物語。板橋区の自殺の名所と言われる団地、渋谷の暗渠に潜む闇、江東区の埋め立て地の悲惨な過去など6つの区で起こった過去の事件と現在が交互に描かれる短いながらも読み応えのあるストーリー。博識でウンチク大好きな民俗学講師・島野ともに璃々子がひたすら裏東京を巡るのはなぜなのか?最後に明らかになるあっと驚く仕掛けは秀逸。本当に怖いのは心霊なのか人なのか?忍び寄ってくる闇にからめ捕られそうなそんな1冊。2023/10/05