内容説明
京都・二条で小さな和食器店を営む紫。好きなものに囲まれ静かに暮らす紫の毎日が、20歳近く年上の草木染め職人・光山の出現でがらりと変わる。無邪気で大胆なくせに、強引なことを“してくれない”彼に、紫は心を持て余し、らしくない自分に困り果てる。それでも想いは募る一方。ところが、光山には驚くべき過去が―。ほろ苦く、時々甘い、恋の物語。
著者等紹介
瀧羽麻子[タキワアサコ]
1981年兵庫県生まれ。2004年京都大学卒業。07年『うさぎパン』で第二回ダ・ヴィンチ文学賞大賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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machi☺︎︎゛
125
京都を舞台にした大人の恋物語。和食器店を営む紫(ゆかり)はあるパーティーで20歳も上の光山(こうざん)と出会う。草木染め職人の光山は紫に対して好意は持っているはずなのに、してほしい事を全然してくれない。そんな光山よりも他にいい人はいるのに光山が気になってしょうがない紫。大人の魅力と個人の持つ魅力に振り回される紫。京都の実際にある地名や行事ごと、草木染め、和食器など京都らしい物も加わり心地よく読めた。2022/05/13
M
120
京都の街を舞台にした、雰囲気物語、というか。著者は染色家の光山をやたらとイイ男に見せたがるけど、一見惹かれそうでも、薄情で男らしさも感じられず、個人的には魅力を感じなかった。主人公の紫も芯がありそうで無く、中途半端。誠実で思いやりのあるブライアンに気を持たせて不誠実。薄っぺらい美人。京都の町並みやおばんざい、建造物に景色、うららかな陽射しに映える染色仕事に熱中する作家の眼差しなど、この物語は、土地の文化になぞらい、その伝統に宿る空気感や美学を映像化したらまた印象が違うかもしれない。要は京都頼み。2017/02/26
aoringo
90
舞台は京都、少し冷めた目で世の中を見る主人公の雑貨店、アラサー店主。親しい外国人男性から想いを寄せられるもピンと来ないまま、あるパーティーで草木染めの芸術家と出会い惹かれていく。平凡な幸せとは無縁だろう男に抵抗しながらも次第に気持ちを抑えられなくなる。追いかけても幸せにはなれないのは分かりきっているのに、惹かれるのは何故だろう。何度振っても真っ直ぐに求愛してくれるブライアンとくっつく方が絶対幸せになれるのにね。恋愛ってつくづく難しい。2024/03/15
ケロリーヌ@ベルばら同盟
56
大学生のキラキラとした恋を描いた「左京区」シリーズとは、対照的な大人の情が綴られる本作「いろは匂へど」語り手は、祖父が遺した和食器店を営む30代の独身女性紫(ゆかり)。充分に大人で、自立して一人を孤独と思わない彼女の静雅な日々に、染色家光山との出逢いが変化を齎します。凪いだ水面に漣が立つように、紅と藍を混ぜ合わせて発色する紫が、微妙にその色合いを変えて行くように。春霞の中に揺蕩う柔らかな色調の布地に一条鋭く切込む鮮やかな差し色。めりはりが効いて、結びが明解な物語も良いけれど、京が舞台ならこんなお話も有り。2019/03/01
tenori
55
ようやく積読脱出。いろは匂へど。いろはにほへと。花は散る。不変(普遍)ではいられない。現実に目をそむけて儚い夢は見るまい。諸行無常。京都の片隅で器や布のセレクトショップを営む女性が、草木染め職人の男性に惹かれていく、ある意味ベタで面白みには欠ける物語だけれど、染色の過程を人生になぞらえながら、人同士が様々な関わり方を持つことで、色合いは変化するし、それを恐れたり拒むのではなく、喜怒哀楽の彩りを受け入れていくのが自然なのではと感じさせてくれる。タイトルと物語の調和がかなり印象的な一冊。2023/12/21




