内容説明
「インドにでも行ってみたら」。親しくもない同僚の一言で、僕はインドへと旅立った。騙され、裏切られ、日記までも盗まれて。それなりに真面目に生きてきた僕の常識は、一瞬にして崩壊する。だが、この最低最悪の経験こそが、30年に及ぶ旅の始まりだった…。いい加減な決断の連続で、世界中を放浪し、旅の出版社まで立ち上げた著者の怒涛の人生。
著者等紹介
蔵前仁一[クラマエジンイチ]
1956年鹿児島県生まれ。作家・グラフィックデザイナー。慶應義塾大学卒業後、80年代初頭からアジア・アフリカを中心に世界各地を旅する。個人旅行者のための雑誌「旅行人」編集長を務める(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ゆいまある
93
人気イラストレーターだった頃、眠らずに働き続けた。ふと何もかも嫌になった。ここで自殺を考えてもいいところ、彼は旅に出た。長い長い旅に。日本でお金を作ってまた旅に出ることを繰り返す。バックパッカーの走りである。かくして伝説の本、ゴーゴーインドが世に出る。そのままイラスト兼ライターとして生きていくこともできたのに、なまじレイアウトができたので出版社を作る。旅行人。主に出版の話だが、人生とは長い旅である。と言いたくなる読後感。仕事が増えたら人を増やすべきか仕事を減らすべきか迷うが、いっそ旅に出たい。そうしたい。2021/03/15
ばんだねいっぺい
31
運命って、偶然の成りゆきなんだなぁと他人事のように思った。自分にもこのような降って湧くような転機がやってくるだろうか。とりあえず、もう少ししたら東京へ行くのでのんびり楽しみたい。2016/10/25
さすらいのアリクイ
27
旅行作家の蔵前さんが書いた自伝的な本。旅のことや、蔵前さんたちが旅の本や雑誌を作る出版社を立ち上げたことなどが書かれています。前半は海外各地へ旅に出るきっかけや、旅のことを本にまとめて出版社から出したことなど。80年代の中国やモロッコなどの光景を読むことができます。後半は自分たちが作った出版社「旅行人」について。雑誌「旅行人」の創刊から終わりまでのことや、雑誌に関わったライターさんたちのことなど。旅に出会い、旅がきっかけで人生の進む方向が変わり、そして自分のやるべきことを見つけた方が書かれた本です。2016/06/22
タカボー
10
初めて読むけど、人生の中でいつかはこの人の本を読む運命だったと思う。本書は紀行文というよりは「旅行人」を作った蔵前仁一の自伝に近い。紀行文が好きな人なら読んだことがある作家が一人は出てくる。好きなことをやっているだけなのに、異才が集まってくるトキワ荘状態。好きなことを全力でやっているからこそ、そんな人達と巡り会うとも言える。最初に読む本にピッタリ。次は気になったエリアを深掘りして読みたい。2022/06/01
椿 釦
6
久し振りに蔵前さんの本を読む。今度旅行人のイベントに行くので予習と復習をかねて。旅のことについて書かれた本というよりは、旅行人という雑誌を作って休刊するまでの話。それが凄く面白い。出版社って出来ちゃうものなんだなぁ。時代もあるのかもしれないけれど。一冊の本、雑誌を作る裏話は興味深い事ばかり。手作り感満載かつアバウトで、ミニコミから全国へ流通する雑誌を作るのは本当に凄い。しかもマイナー地域が特集された雑誌。読了後、今の時代に本を売る、買う事について自然と考えていた。旅行本も飽和状態?私のアンテナが弱いだけ?2017/09/09